やわらかそうな白い肌に指を這わせ、真っ赤なルージュの唇に口付ければ、女は妖艶に微笑み、更なる口付けを要求する。

そんな甘い世界が毎夜毎夜と談話室で繰り広げられていた。しかも、同じ女は二度といない。





「よくやりますね、毎晩毎晩」

「……覗き見とは、感心しないね」

「談話室なんかで逢い引きする方が悪いです」





こぽぽぽ、私専用のマグカップにコーヒーを注ぎながらそう言うと、背後からふっと乾いた笑いが聞こえた。





「マルフォイ先輩も飲みま、あー、紅茶の方が良いですか?」

「そうだな、今は紅茶よりも…」





ちゃぽり、波打つ水面。マグカップから溢れたコーヒーが少し熱い。

後ろから突然伸びてきた両の白い腕は、私を優しく包み込んだ。目眩を誘う優美な香水と、挟まれるような緩い圧迫感。"君の方が良い"、と決まり文句を吐く唇。
まったくこの人は…!





「私に触らないでください」

「強気な女性も私は嫌いじゃない」

「―っ離せこの女誑し!色欲男!」

「人聞きの悪い、もう少し言い方があるだろう」





そうだな、せめて





博愛主義だと言ってくれないか
(…ナルシッサ先輩に全部ちくりますよ)
(!!)

勝った…!





0203>>>title:joy