皆が寝静まった頃。談話室に忘れ物をしたのを思い出し取りに向かうと、テーブルの上にハコベの花が一輪と、僕宛のメッセージカードがあった。





「(何で僕に…)」





そっと手に取り読んでみると、"迎えに行くからね!"とのこと。差出人は、ミョウジだった。





「迎えにって…、どういう事だ」

「こういう事!」

「っ!!」





居る筈の無い人物の声に驚き振り返ると、ニット帽にマフラー、手袋を装備した、室内には不釣り合いな格好のミョウジの姿。





「お前、どうやって」

「へっへー、それは企業秘密!さぁ、行こっかスネイプ!」

「は。行くって…、どこへ」

「外!二人でランデブー!」





楽しそうに笑いながらそう言って、無理矢理ミョウジのローブを被せられ、強引に部屋を連れ出されてしまった(もう、何が何だか)。


気が付けば、僕らは城の外。





「綺麗でしょ、冬の空は」

「…あ、あぁ、」




"スネイプと見たかったんだー"、白い息を吐きながらそう呟くミョウジ。

確かに、漆黒というよりは少し青みがかった空に、無数に浮かぶ光。今にも落ちてきそうだ。

ゴーン、ゴーン、鐘の音が空に吸い込まれて行く。





「お、12時だね」

「そうだな」

「スネッ、…セブルス」

「っな、何だ急に」

「その…、誕生日、おめでとう」

「…あぁ、ありがとう、…ナマエ」





それから僕たちは、そっと、お互いの冷たい手を握りしめた。





星空ランデブー
(ひとつ大人になった君へ)





0109>>>ハコベも誕生花らしいですか、詳しいことはよく分かりません。ごめんなさい。花言葉:密会 ランデブー 愛らしい