※ぬるいえろちしずむ。わるい教授。








「お呼びですかスネイプ先生」





そろり、先生の私室のドアを開けると、つんと独特の香りが漂った。先生と同じ、薬品のにおい。





「そこに座れ」





通された部屋の中は、予想以上に生活感のないものだった。促されるままソファーに座ると、先生も私の隣に座る。(あぁ、肩が、触れてしまう)





「どうした?気分でも悪いのか」

「い、いえ…」





あかい頬を悟られないように下を向いた私の顔を覗き込む先生。余計に恥ずかしくて、更に体温上昇。それ紛らわすように、だされたホットチョコレートに口をつけた。口内に広がる蕩けるような甘さと、染みるような暖かさが緊張を和らげてくれる…、筈だった。





カラン、カラン、乾いた音をたててティースプーンが地に落ちる。謝らなきゃ、拾わなきゃ…、そういう思いとは裏腹に体はピクリとも動かない。





くらり、回る世界。ぐつぐつ、煮えたぎる血液。はぁはぁ、上手くできない息。耳に響く心音が酷く耳障り。不意に、教授の指が私の顎を優しく掴み上げた。





「ナマエ、」

「スネイプ…、せんせ」





私、何だかおかしいのです。どうしてしまったのでしょうか、私のからだは。駆け巡る今まで感じたことのない激しい欲求が怖い。私を見つめるスネイプ先生のくちびるを、奪ってしまいたい。あぁ先生、これは私が悪いのではなくて、きっとチョコレートのせいなんです。チョコレートが私を惑わしたせいなんです。せんせい、





貪るように口付けたスネイプ先生のくちびるが、楽しげに歪んだ気がした。





チョコレートに罪はないよおじょうさん
(さて、ゆっくり味わうとしよう)





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