ドクン、ドクン、どくん





抱き締めたナマエの身体はだんだんと熱を帯びてゆき、ゼロ距離の胸元から発せられる微振動が私を包み込む。ナマエの"生"を感じて、込み上げてくる波を抑え込めなかった。ほろり、情けなく溢れる感情。





「リーマス、泣かないで」





優しく背中に回された細い腕には、生々しいしい傷跡。赤が滲む包帯。愛らしい頬にまで、大きな切り傷。それでもナマエは微笑んでいた。慈愛に満ちた、綺麗な笑顔で。

そんな顔をしないでくれ。何故私を責めない?。君をこんなに傷つけてしまったのは私なのに。私は、いつの日かこの笑顔を、殺してしまうかもしれないのに。





「ごめんナマエ…、ごめん、ほんとうに」





君は一番愛しい人なのに、守りたいと思っているのに、どうして傷付けてしまったのか。いくら謝罪の言葉を口にしても、決して許されることじゃない。

全ては私が汚い人浪だから。身を弁えず、君を愛してしまったから。全ての罪は私にある。





「お願い、自分を責めないで」





微笑みが、悲しく歪んだ。彼女の潤んだ瞳には、ぐしゃぐしゃに濡れた私の顔が映っている。




「愛してる。何よりも誰よりも貴方だけを」

「あぁ、私もだよ…、ナマエ」





"愛してる"。キスを落とした首筋は、ゾッとするくらい暖かだった。





いま君の動脈が温かいということ
(それが唯一の救い)





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