「…どうして私の名前を呼んでくれないの」





夕食時。
デザートのチョコパイを食べる僕の隣で糖蜜パイを頬張っていたみょうじが呟いた。





「リリーは"リリー"なのに、私の事は"みょうじ"って…、何か寂しい」





そう言ってパクリと糖蜜パイにかじりつく。僕だって、できれば名前で呼びたい。だけど―…





"なまえ"





ああ駄目だ!考えただけで恥ずかしくなってきた!顔があつい。心臓がドキドキする。とても口には出せない。





「ごめん、もう暫く"みょうじ"で…」

「えー」





呼びたい名前
(じゃぁ私も"ルーピン"って呼ぼうかな)
(えぇー…)





0306>>>title:Aコース