「うわー、やっぱり大きいなぁ…」





写真でしか見たことの無い巨大な城(もとい学校)を見上げる。





「(こんな立派な所で…、私みたいな下っぱが…、大丈夫なんだろうか)」





そんな不安を抱えたまま、微かに震える足で城内へと踏み出した。





******


「…やばい、迷った」





渡された地図通りに進んだ筈が、どうやっても辿り着けない。





「(ど、どうしょう)」





初日からこんなことになるなんて思いもしなかった。この歳で迷子になるなんて!(恥ずかし過ぎる!)





兎に角、最初の場所に引き換えそう。そう思ってくるりと向きを変えると、ぼふっと、柔らかい何かにぶつかった。





ゆっくり目を開け、目線を上へと向ければ、私を見下げる黒い瞳と目が合った。





「ごっごごごご免なさいっ!済みません、大丈夫ですか!?」





慌てて2、3歩下がると、黒い人は呆れたような顔をして、無言のままスッと隣を通り過ぎようとした。





「あっ!待ってください!」





行かせたまるかぁぁ!と心の中で叫びながらガッシリと黒い人の腕を掴んだ。また迷惑そうな顔で睨まれる。(怖っ)





「あの…、ぶつかっといてアレなんですけど、校長室ってどこにあります?」





一応遠慮がちにそう聞くと、黒い人は一瞬目を見開いて私を見据え、口を開いた。





「それぐらい、魔法でも使って自力で探してはどうかね」





そう冷たく言いはなって、乱暴に私の手を振り払いスタスタと不機嫌そうに去って行く。





「なっ何なのあの人!」





第一印象は最悪
(少しくらい)
(助けてくれたって良いじゃない!)





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