ハーマイオニーの発言から、私の観察が始まった。

仕事の合間にハリーたちを見つけては後をつけ、聞き耳をたて(そう、さながらめい探偵のように!)尾行を続けた。しかし、特に怪しい行動はなく、ハーマイオニーが家に帰ってしまった後は図書館に行く様子もなく、他の子どもたちと同じように、イヴの夜にはそそくさと寮に戻り、クリスマスの朝にはプレゼントがなんだったか等と楽しそうに話すだけ。





「(んー…、私の思い過ごしかなぁ)」





パクリ、クリスマス仕様の特別料理を摘まみながら考えていると、





「おい」





実に、三日ぶりの低い声が鼓膜を揺さぶった。





「…なんですか、教授」

「一週間ほど前に頼んであった薬品がまだ届いていないのだか、どうなっているのかね」

「あぁー、すみません。まだ量が足りなくて」

「そうか」





沈黙。ぎこちない会話。なんとなく、重い空気が私と教授の間に流れた。





「(あ、そうだ)」





この際だから、ハリーたちのことを言ってしまおう。また怒られるかもしれないが、それでもこの“異様なぎこちなさ”を解消できるかもしれない。そう思って、既にそっぽを向いてしまった教授に話しかけようと口を開いた時、ガバッと、大きな思い何かが私の肩に伸し掛かった。

ぷーんと臭うのは、アルコール。





「ちょ、ハグリットさん!重い!」

「なんでぇミョウジ先生、ちぃとも酒が進んどらんじゃないか!」

「いや、私お酒はあんまり…」

「なぁにを言っちょる!折角のクリスマス、楽しまんと損だぞ!」





だからお酒得意じゃないんだってば!

出かけた拳をギュッと握り締め、何とか逃れようともがいていると、ギィと、イスが引かれる音。





「あっ!待ってください教授!」





慌てて声をかけるも、時既に遅し。教授は振り返りもせずに行ってしまった。





「あぁーもうっ!」






酒乱らんらん
(ハグリットさんのばか!)








2011/0101>>>