「(寒い…、寒すぎる)」





12月、談話室と違い廊下は極寒。地下室はさらに極寒。余りの寒さに授業でも、調合より暖とることを優先する生徒が増えてきた。そんな中、教授はいつもの服装で身震い一つせず、集中しない生徒に罰を与えていく(あの服の中身はあったかカイロで一杯なんだと私は思ってる、ていうか絶対そうだ)。





「おい、ぼーっとしていないで仕事をしたらどうかね。ゴイルの鍋が噴いているが?」

「え、うわっ!ちょ、ちょっとゴイル!ストップストップ!」





******





「お疲れ様です教授」

「あぁ」

「あ、ちょっと待ってください」





一通り授業が終わり、そそくさと自室に入ろうとする教授の腕を掴んで止めると、あからさまに眉間に皺を寄せ、嫌ぁな顔になった。





「なんだ」

「あの、先月のクィデッチのことなんですけど…」





“ハリーの箒の件、クィレル先生が怪しいと思うんです。”と続けると、教授は一層皺を刻み目を細める。そのまま何故か数秒見つめ会った後、グイッと教授が腕を引き、掴んでいた私はその勢いで教授のほうの私室へと引き摺りこまれた。





「ちょっ、なにするんですか!」





危うくこけそうになりキッと教授を見るが、彼は私など気にも留めず自分用のイスに座り、机に肘をつき、腕を組んで深くため息をついた。





「なぜ、クィレルが怪しいと思った」

「あぁ…、えっと、無言でじっとハリーを見つめていて、他の先生方が騒いでるのに声一つ上げなかったし、…あとは私の勘です」

「なるほど、…只の馬鹿ではなかったようだな」

「あれ、いますごく辛辣な言葉が聞こえた気がしたんですけど」

「…我輩も、クィレルが怪しいと踏んでいる」

「!」





教授の助手になって数ヶ月、初めて意見があった。なんか、嬉しいな!





「だから、お前はこれ以上石のことには関わるな」

「は?」





あれ?“馬鹿発言”といい、今日は耳の調子が悪い日らしい。関わるな?詳細を教えたのは教授なのに何を今更…。

「嫌です」

「言わなかったか?トロールや三頭犬の時のような目に遭いたくなければ大人しくしていろと」

「っ・・・、確かに言ってましたけど、でも!」

「よろしい、ならばハッキリと申し上げよう」





黒い瞳が私を見据える。その眼光の鋭さに思わず一歩下がってしまった。





「お前がいると足手まといのいい迷惑だ」








最悪、最低。
(思わず私はきつく扉を閉め、部屋を飛び出した)










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