「グリフィンドール先取点!」





晴れ渡った空の下、とうとうクィディッチが始まった。人生初観戦!ヤジとため息がが上がるスリザリン側で、私一人だけがふんふんと興奮していた(変な目で見られた)。それも、クィレル先生の隣で。





「凄いですねクィレル先生!箒がびゅんびゅんですねクィレル先生!」

「あぁ、ミョウジ先生、す、すこし、お、お、落ち着い「あ!反則!くそー、流石スリザリン」」

「はぁ…」





深いため息が聞こえた気がしたけれど、気にしない!だって、こうでもしていないと気分が落ちちゃいそう。それもこれも、全部教授のせいだ!


事の発端は、クィディッチが始まる数分前。


皆より少し遅れて観客席についた私は必死でスネイプ教授を探した。人の波に翻弄されながら、やっと見つけ出して隣に座ると、教授はグッと眉を寄せて不機嫌オーラを出し、口を開いた。





「…何故我輩の隣に座る」

「は?…え、だって」

「悪いが、我輩は静かに観戦したいのでな」





"お前のような煩いのが居てはかなわん"と、まるで虫でも払うように私を後ろの席へと追いやった。今思い出しても腹がたつ!そりゃ一緒に観戦する必要は無いし、私だって隣に座ったのは何となくだったから、そこは別に良いのだけれど…、もうちょっとこう、言い方ってものがあると思う!





「(って言うか今教授の隣にいる先生だって騒いでるじゃん、意味わかんない)」

「おい、ハリーがおかしいぞ!」





私が心の中で毒づいていると、何処からかそんな言葉が聞こえてきた。その瞬間、はっと我に返り、観客の視線の先を追うと、そこには今にも箒から振り落とされそうなハリーの姿。





「ハリー!あぁ、どうしよう、クィレル先生、ハリーが!」





ぐいぐいとクィレル先生の袖を引っ張って助けを求めると、バッ、物凄い力で振り払われた。驚いて見上げたクィレル先生は無表情で、声一つあげずに只ジッとハリーを見つめている。何時もの先生なら、吃りに吃って取り乱してもおかしくないのに―…






「…クィレル、先生?」





怖い。

そんな感情と計り知れない違和感が私を支配する。その時、群衆を掻き分けてハーマイオニーが此方に向かってきた。途中でクィレル先生にぶつかり、バランスを崩した先生が前の列に倒れたのに目もくれず走るハーマイオニー。暫くして、鋭い悲鳴と共にスネイプ教授からもくもくと煙が上がったのが見えた(ちょ、何したんだハーマイオニー)。





「いたたた…」

「あ、大丈夫ですか?」





ターバンを押さえて、まだ倒れたままのクィレル先生を助け起こすと、先生はいつもの柔らかい笑顔で言った。





「あ、あ、ありがとう、ミョウジ先生」





あぁ、また違和感。








疑惑
(取りあえず、教授に相談してみよう)









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