教授からの重大発表を聞かされた夜から数日経った。あれから妙な事件も特に無く、教授と私の仲が変わったわけでもなく、本当に平穏な日々が続いていた。





この寒さを除いては、ね!





「ふぇっくし!」





11月。地下室で過ごす初めての冬は、まさに極寒だった。ふかふかの掛布団から出るのがどれだけ辛いか…(でもこのままだと遅刻しちゃう)。意を決して布団を剥ぎ取り、すかさずベッドサイドに用意しておいたローブにくるまって、暖炉に火を入れる。

鮮やかなこの一連の動作に、我ながら感心し、ふと暖炉の上に掛けてあるカレンダーに目をやると、明日の日付に緑の箒マークを発見。





「あ、クィディッチ…」





そう、明日はハリーの記念すべきデビュー戦なのだ!





***―…



「「ナマエせんせー!」」





時間は過ぎて休憩時間。
凍てつくような中庭を小走りで行ったり来たりしていると、聞きなれた無邪気な声が私を呼び止めた。





「こんな寒いところで何してるの?」

「何となく外に出たくて…、それに全然寒くないんだ」





ほら、とハリーが体を少し横に退けて見せてくれたのは、空き瓶に入ったとても綺麗なブルーの火。手を近づけると、ほんのり良い具合に暖かかい。





「わ、すごい。これ誰が出したの?」

「えっと…、私が出しました」

「へぇー、さすがハーマイオニー!」

「いえ、そんな…」





ぽっと赤みを増すハーマイオニーの頬。それとは対照的に、隣にいるロンは先程から一言も喋らず、頬杖をついてむすっとしている。初めて会った頃から嫌われてるなぁとは思っていたけれど…、





「(なんか、思ってた以上に嫌われてるっぽいな…)」

「あの、先生は明日クィディッチ観戦するんですか?」





ハリーが首をかしげながら問う。





「もちろん!ハリーのデビュー戦だからね。」

「でも応援するのはスリザリンでしょう?」

「本当はね。でも明日は特別だから!…あ、スネイプ先生には内緒ね」





"しーっ"と、私が人差し指を立てると、はははと歯を見せて笑う。うん。明日が楽しみだ!








クィディッチ前日
(そういえば、先生お仕事中なんじゃ…)
(はっ!忘れてた!)










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