ここは何処だろう。





真っ白い部屋。真っ白いベッド。眩しい光。嗚呼そっか、私死んだんだ。あの変な犬に噛み殺されて。…とするとここは天国?(だとしたら神様グッジョブ!)





「…気が付いたか」





しかし耳に響いたのは天使の声ではなく、地を這うような低い声で。上手く開かない目に映ったのは、天国には少々似つかわしくない真っ黒の彼だった。





「…あれ?私、死んだん、じゃ」

「馬鹿者。…人間、そう簡単には死なん」





呆れた声色で放たれた言葉が、酷く懐かしく感じた。





私、生きてるんだ。そっか、そっか!生きてるんだ!





「神様グッジョブ!!」





私は勢い良く上半身を起こしながら、今回二度目の台詞を吐いた(教授には哀れんだ目で見られた)。ちょうどその時、シャッと清潔なカーテンが開き、半月眼鏡の老人が顔を出した。





「校長先生!」

「おはよう、ナマエ」





校長は柔らかい笑みを浮かべながらそう言うと、籠に入ったお菓子の詰め合わせをさしだした。





「わぁ!有り難うございます」

「百味ビーンズは儂からじゃ、あとの菓子は…」





"ハリー達が"と、ダンブルドア先生が耳元で囁いた。籠の中には"ごめんなさい"と書かれたメッセージカード。ふんわりと、心が暖かくなるのを感じた。





「…すまんかったの」

「へ?何がですか」

「三頭犬の事じゃよ。ナマエにはきっちり話しておくべきじゃった…、アレが守っている物の事も、ヴォルデモートの事も」





ガタリ
教授が音をたてて立ち上がった。





「話が過ぎますぞ、校長」

「しかし、またこの様なことになっては困るじゃろ」

「だからといって、こいつに話すのは賛成しかねますな」





守ってるものって何?ヴォルデモートって、誰だっけ…って言うか今こ、"こいつ"って言った!"お前"より酷い!

結局校長は、この後溜め息を吐いただけで帰ってしまった。教授は相変わらず変な顔。





「…一体何だったんですか?」

「お前には関係のないことだ」





そんなに私に言いたくないのか。ふとカレンダーを見る。どうやら明日はハロウィンの様だ。







ハロウィン前夜
(うげ、苦瓜味…。教授も食べます?)
(いらん)








0708>>>