図書室に籠っていたら、いつの間にか夜になってしまった(夕食たべ損ねた)。廊下は真っ暗。ふと腕時計を見ると、消灯時間はとっくに過ぎてしまっていた。





「(はやく寮に帰らないと!)」





そう思っていた矢先、私の足元に明かりが指した。





「やぁ、今晩は」

「こ、今晩は…」





光の主はルーピン先生だった。あぁもう、何て私は運が悪いんだろう…。





「…罰則、ですか?」

「そうだね、普通ならそうだろうけど…、今回は新月に免じて見逃してあげるよ」





そう言って、ルーピン先生はそっと窓を見上げる。それにつられて、私も顔を向けると、確かに、何時もポツリ浮かんでいる丸い月は居なかった(あ、だから廊下が真っ暗なんだ、納得)。





「ルーピン先生は月が嫌いなんですか?」
「…まぁ、ね」





苦し紛れにそう答えたルーピン先生の顔は、とても悲しそうだった。





まずいこと聞いちゃったかな…。





「ご免なさい、私…変なこと聞いちゃって…」

「いや、謝ること無いよ。…じゃぁ、寮に戻る前に少し私の探険に付き合ってくれないかい?」

「えっ…でも、」

「大丈夫だよ。但し、この事は誰にも内緒だ、いいね?」

「…っはい!」





A walk of a wolf and a puppy
(新月の夜)
(二人だけの秘密)





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