「先輩!私と付き合ってください!」

「 断 る 」





強い口調でそう言って、スネイプ先輩はさらりと私の愛の抱擁を躱し、地下牢教室へと消えていった。





「…また逃げられた」





もうこれで通算159敗目だ。私は至って真剣なのに、スネイプ先輩は全く解ってない。こんなにも焦がれているのに。





「先輩のばか」





ポツリ呟いた独り言は、静かな廊下に虚しく響き渡る―…





「おい」





筈だった。





「ちょっ、何で戻ってきたんですか!?」

「そんな事はどうでもいい。さて、誰が馬鹿だって?」

「(き、聞かれてたのか)」





じりじりと先輩が詰め寄る(いや、ある意味嬉しいけど)。





「あああれは…言葉の綾です!」





とんっ、と背中かが壁にぶつかった。両端は先輩が確り通せん坊。もう逃げ場はない。





「僕にそんな言い逃れが通用するとでも思っているのか?」

「…だって」





だって、貴方が悪いのよ。私は何時も本気なのに。こんなに好きなのに。

じわりと視界を薄い膜が覆う。泣いたら卑怯だ。頭ではわかっていても体が言うことを聞かない。暫く黙ったまま涙を必死で抑え込んでいると、先輩から深い溜め息が聞こえた。





「泣くな」

「泣いてません」

「……僕の事が好きだと言ったな」

「へっ?」





先輩の予想外の発言にフッと涙が引っ込んだ。





「だったら僕より良い成績を取ってみろ。其ができたら少しは考えてやる」





そう言った先輩の顔は、真っ赤だった。





The condition that is shown asking the impossible.
(先輩…、私が落ちこぼれだと知ってて言ってるんですか)
(さぁな)





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