教師音無×生徒野田
パロ注意







学校のチャイムが鳴り終わり、長い1日の終了を告げる。
試験前のこの時期は、みんな勉強勉強と忙しそうだった。

ぞろぞろと生徒達が出ていく中、俺もそれに混じって出ていこうとした、が。


「野田、お前は残れ」

がしりと掴まれた手に、俺の1日はまだ終わらないのだとため息を吐いた。



俺は勉強が苦手だ。
特に数学。
あんなのわかったもんじゃない。
足し算ならまだしも公式やら円周率やらルートやら、多すぎる。
頭に入るわけないなだろう。

だから、試験前はいつもこうやって担任であり、数学の教師であり、恋人であるこいつ――音無に所謂居残りってやつをさせられていた。


「ほら、座れ」

がたん、と席に座らせられる。
あー、勉強なんてしたくない。

「…何をしろというのだ」
「勉強。お前言われないとしないだろ?」

そう言われると反論できない。
今日も帰って寝るつもりだったし。


「…言われてもやらないと言ったら?」
「そんなにお仕置きされたいのか?」
「……」
「そんな嫌な顔するなよ」


嫌な顔だってする。
以前勉強放置でひどい点数を取り、お仕置きという名の、あんなことやこんなことをされた。
次の日学校もあったのに手加減してくれなくて結局休んだ。
もうあんなのは勘弁したい。


「で、やる気になったか?」
「…もう早く終わらせて帰る」

しょうがなく教科書とノートを開くと、音無は満足そうに笑う。
音無の笑顔は好きだ。
絶対言わないけど。

「ここはこうやって――」

こいつの教え方はわかりやすい、らしい。
他の奴じゃ意味のわからなかったが、音無に教わってから出来るようになった問題は数知れない。


綺麗な声してるんだな、と改めて思って聞いていると、唐突に音無の声が止まる。


「野田…本当にやる気あるか?」
「最初からないと言ったはずだが?」

呆れた声が聞こえて、半分も内容が入っていない、というか内容聞いてなかったのがバレたのかと慌ててそう返す。

「はぁ…ほら野田、ここまで終わらせたらクレープ買ってやるから」
「本当か…!?」

我ながらどうかと思うが、甘い物がかかってるのなら話は別だ。
早速やり始めようとシャーペンを手に持つ。

いきなり態度変わったな、とため息が聞こえたが気にしない。


「クレープ買ってやるけど、ついでにエッチもな」

聞こえた単語に言葉が詰まる。
動揺して力が入ったからか数式を書いていたシャーペンの芯が折れた。

試験前の放課後とあってその音が妙に響いて、顔が赤くなるのがわかって俯けば、くすくすと笑い声。

「お前って本当可愛いな、野田」
「し、しゃべるな…っ」


くしゃりと頭を撫でられ余計に恥ずかしくなる。
行為自体は嫌いじゃないし、否定できない。

でも否定はしないんだろ?と肯定したのがバレていたたまれなくなった。


ちゅっと額にキスされて、頭から手が離れる。


「ほら、ここからな」

こうして、放課後の勉強が始まるのだった。

鼓動と秒針

(「終わった…!」
「よくできました」
「当たり前だ…それと子供扱いするな」
「じゃあ大人扱い、」
「ん…っんん、ぅ…っ」
「これでいいか?」
「…ふん、か、帰るぞ」)



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