ふわふわくるくる。
お祭りの定番であるわたあめが作られてゆく様子に、野田が目を輝かせていた。

その目の輝きようと言ったら、おもちゃを見る子供のようだ。
やがて最初より数倍膨れ上がったわたあめを2つ受け取り、片方を野田に渡す。

「ほら」
「…!」

自分の顔より大きいそれを頬張る野田。
気付いてないだろうけど、めちゃくちゃ顔に出てるぞ、お前。

普段のツンツンしてる時からすると考えられないくらい子供っぽい姿に頬が緩む。

本当野田って甘いもん好きだよな。


「うまいか?」
「ん…、うまい」

貴様は食わんのか?言われて自分のわたあめの存在を思い出す。
野田の食べてる姿があまりに可愛かったから忘れていた。

ふわふわとしたそれに口を付ける。
すぐに溶けて甘い味が広がった。
うん、おいしい。

上機嫌な野田と二人で適当に歩きながら黙々とわたあめを食べ、すぐに食べおわってこれからどうするか聞こうと野田の方を見る。


「どうした?」
「ぶっ…」

怪訝そうに眉を寄せこちらを見る野田に、つい笑ってしまう。
何がって、口元にわたあめつけてるから。

どこまで子供なんだよ、まぁそんなとこも可愛いけどさ。

内心そんな事を思いながら歩きだそうとするのを呼び止め、手を伸ばす。

「じっとしとけって」
「だ…だからどうしたのだ…」
「っし、取れた」

状況が理解できてないらしい、ぽかんとしてる野田をよそに、取ってやったそれを食べる。
やっぱり甘い。

野田の顔を覗き込むと、やっと何があったのか理解できたらしい。
みるみるうちに顔が赤く染まってゆく。

やがて慌てだす野田が無性に可愛く見えて、衝動的に頬にちゅっとキスをする。


「ひゃ…っ、ひ、日向…!」
「大丈夫、誰も見てないって」
「そ、そういう問題じゃない!」

そうやって真っ赤になって怒る野田に、もう一度キスをしてやった。

ふわふわあまい

わたあめなんかより
君の方が断然甘いよ!


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