最初から最後までヤってるだけ。






「あ…っは、ぁ…!」

ひくん、と野田の背が震える。
気持ちいい気持ちいい気持ちいい。
その感覚だけが体と脳を満たす。

内壁を押し上げられ、自分でも信じがたい声が自然と漏れている事に気付きつつ、それでも隠す事はしない。


「ふぁ…っ、んうっ、音無…」

野田は無意識に音無の名前を呼んで、快感に従順に喘ぐ。
音無はそんな野田の姿に煽られるばかりだった。

二人しか存在しない甘い部屋の中。
ぐちりと音無が中を引っ掻く度に、野田はたまらないとばかりに腰をゆらゆらと揺らめかせた。

「…野田、もういいか?」

その刺激的な光景に、我慢仕切れずに切羽詰まった声で問う。
野田は涙が今にも零れそうな瞳で音無を見つめ、こくりと頷いた。

「あ、んぁあぁっ!」
「は…っ野田、力抜け…っ」

腰を押し進めると上がる嬌声。
ぐちゅんとリアルな音が聴覚を麻痺させていくような、そんな気さえしてくる。

奥まで埋め込んで息を吐く。
その間も野田の中は、きゅうきゅうと音無のそれを締め付けるように収縮していた。

「んうっん、んん…っ」

音無は目の前の唇に噛み付くように口付け、荒々しく口内を貪った。
そして野田がその口付けに必死に応えようと舌を絡ませてくるのを確認してから、自らも舌を絡ませつつ腰をゆっくりと動かし始める。

「ぁん…っん、んん、ふぅっ!」

喘ぎはキスの中に飲まれ、くぐもった声だけが部屋に響いた。
出し入れされる、なんとも形容出来ない気持ち良さにおかしくなりそうだ、と考えながらも、野田はもっとと催促するように音無の首に回した手に力を入れ、ぎゅうっと抱き締めた。


「はっ、あ、音無…っんあぁっ!や、ぁ…!」
「野田…っ」

唇がやっと離れ、足りなくなった酸素を取り込む間もなく腰を掴まれイイところを突かれる。
自然と逃げようとしてしまうが、腰を押さえられているためそれも叶わない。

「気持ち、いいか…?」
「あっ、ふぁあっや、きもちい…っ!」

音無がそう聞けば、快楽に溺れた野田はすぐに素直な感情を口にする。
涙が流れる頬を野性的に舐め上げ律動を早める。

お互いに限界が近く、理性なんて当の前に焼き切れてしまっていた。
容赦のない突き上げに、全身が犯されているような感覚に陥る。


「ふっ、あぁあっ!ひあぁっ!」
「…っ野田、好きだ…!」

音無の声に、野田もうわごとのように好きと呟く。
途端、不意に自身を握られ上下に扱かれる。
触れられずとも達しそうなくらいの快感の上、更に刺激を与えられ、野田はもう駄目、と音無に縋り付いた。

「ひぅっ!あ、ああっ、やあぁあっ!」
「う、く…っ、野田…」

扱くのと同時に腰を引き、思いっきり奥まで入れれば、野田はあっけなく達し、自らの白濁で腹を汚す。
それに連動するような中の締め付けに耐え切れず音無も野田の中に熱を解放した。


「はーっ、はー…っ」

くたりと力なく回した腕をベッドに下ろし、息を整える。
音無が吐き出したばかりの自身を引き抜くと、白濁がとろりと溢れた。

「ひぁ…っ」

その動作さえも達したばかりの野田の体には快感として拾い上げてしまうようだ。
小さく声を上げ、まだくらくらする頭を持ち上げ、ゆっくりと体勢を起こす。


「大丈夫か?」
「大、丈夫だ…」

喘ぎすぎで少し枯れた声で答え、汗やら体液やらでべたべたして気持ち悪い体を洗うべく風呂へ向かおうとする野田だったが、うまく力が入らないらしくふらふらと危なっかしい。

「野田待てって、俺も一緒に行く」
「な…っ、なんで貴様が…っ」
「後始末手伝ってやるよ」
「い、いい…っ」

野田は頑なに断ろうとするが、いいと言われればしたくなるのが人間というものだ。
音無は未だベッドから数メートルも進んでいない野田を抱き上げると、風呂へと向かった。

掠れた声と吐息

もっと、
そんな囁きが聞こえた気がした


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