「うわ…これはひどいな…」
「どこから片付ければいいのかわからん」

床に散らばったプリントや本に、何年も使われてないのか部屋の中は全体的に埃っぽく、何があったのか黒板にはヒビが入っている始末。

なぜ俺達がこんなとこにいるかというと、ゆりが空き教室の掃除を頼んできた―――頼むというか命令だったのだが―――から。
よくはわからないが、次のオペレーションに使うとか何とか。

野田は二つ返事で了承してしまい、本当ゆりに従順なんだななんて思いながら、掃除くらい暇だしいいか、と俺もここまで着いてきた。わけなんだが。

正直ここまでひどいと思ってなかった。
これ、1日で終わるのか…?

「どうする?」
「どうするもこうするも、掃除するのだろう?」

野田はそう言ってハルバードを教室の外の廊下に立て掛けると、事前に持ってきておいたホウキを手に、教室へと入っていく。
俺もそれを追うように中へ入った。

「っ…、ごほっ、野田、窓開けてくれ…とりあえず換気だ」
「あぁ」

ガラッと重い音を立て、何年も開いてなかったらしい窓が開く。
二階の隅であるこの教室から見える景色は殺風景なものだ。

風が入ってくる度に埃が舞う。
暫くすると大体の換気は終わり、埃っぽい空気は大分マシになった。

「まずはプリントとか本からだな」
「よし、やるぞ」

ゆりっぺの命令とあれば野田はやる気満々だ。
そんなやる気に満ちた野田を眺めながら、掃除が始まった。




「疲れた…」
「そう、だな…」

信じられないくらい綺麗になった教室の床に二人して座り込む。
まさか掃除がこんなに重労働だったとは。

服も汚れたし、疲労感も大きい。
とりあえず二人で教室を出て、校長室に寄ってゆりっぺに報告をしてから部屋へ向かう。

「野田、俺の部屋寄ってかないか?」
「別にいいが」

了承を得て、二人で俺の部屋に入る。
俺は今、ルームメイトがいないため、一人暮らしみたいなものだ。寮だけど。

備え付けの冷蔵庫から冷やしてあった飲み物を野田に渡し、もう一本出して自分も喉を潤した。


「とりあえずシャワー浴びてこい、野田」
「な、なぜだ…?」
「ずっと埃っぽい部屋にいたから」
「そ、そういう意味か…シャワー借りるぞ!」
「あ、あぁ…」

なんか顔赤くして慌ててシャワールームに入っていってしまった。
他にどういう意味が―――――あ。

野田が何を考えたのかがわかった。
でもそれを考えたって事は、期待してるって事なんだよな?

飲み物を冷蔵庫にしまい、もういっそのこと一緒に入ればいいかと思って、野田のいるシャワールームへと向かった。

君に触れたがる手

(「野田ー、俺も一緒に入るけどいいか?」
「なっ!?き、貴様っ!いいわけないだろうっ!」
「断られても入るけどな」
「それ以上入ってくるな!うあ、ひゃっ」)






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