「のーだ!」
「っ!な、なんだ貴様いきなり!」

暇だったから校内をうろうろしてたら、野田を見つけた。
だから後ろから抱きついてみたら、怒られた。


「そんな怒らなくていいだろ」
「貴様が何の前触れもなくこういう事をするからだ…!」

そう言って俺を睨んでくるが、はっきり言ってこれには慣れた。
怖くもなんともない。

誰に見られるかわからない廊下だが、後ろから抱きつくのはやめず、そのまま耳に息を吹き掛ける。

「ひゃっ…!」

途端に目を瞑って体から力を抜いてしまう野田。
本当耳弱いな…。

「野田ー」
「しゃっ、しゃべるな…!」


バタバタと野田が暴れるが、俺も離すつもりはない。
というかなんか楽しくなってきた。

が、野田はうまく俺の腕をすり抜け、ハルバードを構える。

「貴様よくも…!」
「そう構えるなって」
「そもそも貴様がこんなところでいきなり盛るからいけないんだろう!」
「盛ってない、ちょっとした挨拶だ」
「そんな挨拶あってたまるか!」

まぁ実際さっきの声にちょっとムラムラしたっていうのは秘密だ。

ぐちぐちと文句を言う野田。
そんな姿も可愛いと思ってしまう俺は、もう、よっぽど野田が好きなんだろう。
それを再確認して、さっき野田が言った事を思い出す。

――こんなところでいきなり?

っていう事はつまり、


「大体貴様は―――」
「他のところなら、いいのか?」
「は…?何言って…」
「よし、そうと決れば俺の部屋にいこうぜ」
「ちょ、話を聞け日向!お、おい…っ!」


ああ、なんだそういう事か。
俺は制止の声も聞かずに野田の手を引っ張り歩きだした。

やっぱり君は

(「離せと言っている!」
「あーもう黙ってついてこいって、すぐ気持ちよくしてやるから」
「気持ちよく…っ!?ふ、ふざけるなっ!!」)


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