微裏。ぬるいです。







野田が酔った。

なぜそうなったかって聞かれると話は長くなる。

どこから持ってきたのか知らないが日向が酒を手に入れたらしく、俺、野田、藤巻、大山の4人が呼ばれて日向の部屋に行った。

全員未成年のはず(死んでるから関係ないのか?)なんだが、あまり飲んだ事のない酒にみんな興味を持ち始めてそれで。

俺はできるだけ飲まないようにしていたから大丈夫だが、他のメンバーはそうじゃなかった。


日向は主催のくせに自分のベッドで寝てしまい、酔った藤巻は大山を連れどこかに。
そして俺はと言えば。


「音無…、」
「の、野田…」

酒のせいでふにゃんふにゃんになったデレデレな野田に絡まれていた。
いや、それ自体は嬉しい。

だっていつもあんなにツンツンしてる野田が、今こうして俺の膝に自ら座ってきているのだから。
しかも向かい合わせに。


「大丈夫、か?」

どうやら、というか確実に野田は酒に弱い体質だ。
普段の強気な雰囲気は抜け―――それこそ情事の最中にしか見せないような―――ふわふわとした雰囲気だった。

潤んだ紫の瞳に赤く染まった頬、なぜか少し肌蹴たシャツ。
おまけに甘えてくるとなればもう俺はどうすればいいのか。


向かい合わせに座られたから、見上げる。
顔がびっくりするほど近い。
お互いの息が混ざるような近さで視線が絡み合う。

きゅ、と抱き付いてきたかと思えば野田の方から口付けられた。

「ん、…ん」

ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスを繰り返し、それが終わると今度は俺の唇をぺろりと舐める。
今日の野田は心臓に悪いくらい可愛い。


「、んっ、ふ、ぅん…」

やがて侵入してきた舌がたどたどしく口内を這い回る。
そのなんとも言えない感じに耐えきれなくなった俺は、一旦野田の顔を離れさせて、次は俺から噛み付くように口付ける。

「んッ、ふぅっ、んん、は…」

ぴちゃぴちゃと水っぽい音が鼓膜を刺激する。
舌を絡ませ合い、こくりと唾液を飲む。
まだキスに慣れないのか、はふはふと辛そうに息をする野田が可愛くって仕方がない。


「っは、あー…はぁ、」

唇を開放してやれば急いで空気を取り込む野田の姿を見ながら辺りを見る。

今さらだが重要な事に気付いた。
――ここ日向の部屋じゃねぇか。

危ない危ない、ここで行為に至ってしまうところだった。
日向が寝ていてよかった。
俺が焦っているとぽかんとした野田がこっちを見下げてきて、移動するぞ、と膝から下ろしてやる。

立ち上がって野田の方を見るとまだ座ったまま、で。


「野田、どうした?」
「立てんのだ…っ」

どうやら酒とさっきのキスで腰砕けになってしまったらしく、野田は床にへたり込んだまま、今度は俺を見上げる。

その顔は反則すぎるだろ!なんて考えながら、野田の手を取って起こしてやった。
肩を貸してやり、ふらふらと歩く野田と廊下へ出る。

「俺の部屋でいいか?」
「ん、いい」

すぐ答えが返ってきた。
俺の寮室はすぐ近くだから、それが一番楽だ。

ドアを開け、野田をベッドに座らせる。
俺は備え付けの冷蔵庫から水を取って野田に渡した。

ペットボトルを両手で持って水を飲む姿は小動物みたいで可愛い。
二口くらい飲んで、野田はペットボトルに蓋をし、そのままベッドに倒れ込んでしまった。

「音無、」

舌っ足らずに名前を呼ばれる。
野田の手からペットボトルを取り、ベッドサイドのテーブルへ置くと、こっちを熱の籠もった目で見上げてくる野田を組み敷いた。
ぐるぐると、欲情が渦巻く。

「はぁ、ん」

べろりと野性的に首筋を舐めたり吸い付いたりしながら、ネクタイを解きシャツを脱がせる。
滑らかな素肌に手を這わせると、いつも唇を噛んだり腕で押さえたりして押さえる声を、今は押さえるという事もせず、甘い声を漏らしていた。

「あ、んんっ…ふ、」

胸の突起を弄ってやれば、たまらないと言わんばかりにびくびくと戦慄く体がいとおしい。

「気持ちいいか?」
「ふ、ぅ、気持ち、い…ッ」

普段絶対答えてくれないような質問にも、今は答えてくれる。
ああ、まさしく野田は天使に違いない。

「おとなし…っ、下、触って…んぅっ…」
「…、わかった」

数える程しか見たことのない、ふわふわと蕩けた表情でそんな風にお願いされたら、触ってやるしか選択はない。

「もう勃ってる」
「んあっ、は、ぁん…」


ズボンの上から、すでに勃っているそれを愛撫する。
焦れったそうに腰を揺らす姿はやばい。クるものがある。


「ん、あ、ぁ、音無…っ」

ふるふると首を振る野田に俺も我慢できなくなって、ズボンを下着ごと下ろした。
さっきの愛撫で完全に勃起したそれに、顔を近付けて咥えれば。

「ひやぁああっ!あっ、や、らぁ…!!」


さっきよりも一層高い声を上げて、野田が俺の顔を引き離そうと頭を掴んできたが、力が全然入っていない。
快楽に満たされた体では、もうなにがなんだがわからないらしい。

何度か入れたり出したりを往復し、先端を思いっきり吸い上げる。


「はぁ!ぅ、んぁっ、おとなしぃ…っぁあぁあ!」

そうすればどろどろに甘い声を上げて白濁を吐き出した。
苦い味が口の中に広がるが、反射的に飲み込んでしまう。
おいしくはないが野田のものだと思えば別に嫌ではなかった。

「ぁ、はぁ…は…」
「野田、大丈夫か?」

肩で息をする野田に顔を上げ、そう問い掛ける。
こくんと頷いて、野田は俺の首へ手を回す。

「あ、ふ、音無…っ」

急かすように呼ばれて、なけなしの理性が音を立てて崩れるのがわかった。

ああ、今日は野田に翻弄されてばっかりだ。
でもここからはそうはいかない。

夢よりも甘い現実を

これは夢なんかじゃない
紛れもない現実なのだから

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