朝起きると、ザーザーと耳障りな音。
横でまだ寝ているシズちゃんをそのままに、ベッドから下り、カーテンを開くと
曇り空に、土砂降りの雨が降る新宿の景色が見えた。

「うわ…」

なんで今日に限って雨が降るんだ。
昨日はあんなに晴れていたのに。

窓に手をあて、そんな事を考えていると、後ろからんぅ、と声が聞こえた。



「シズちゃん、」
「…ん、いざや、おはよう」

目を擦りながら挨拶するシズちゃんにおはよう、と答えてベッドへ腰掛ける。



「…雨?」
「うん、みたいだね…かなり降ってるし外には出ない方がいいかも」
「そうか…」


今日はシズちゃんとデートに行く予定だった。
しかしこの雨の中外に出たら傘を差しても濡れるのは免れないだろう。

めちゃくちゃ残念だ、せっかくのデートだったのに。
くそう、雨のやつ。
けれどどれだけ嘆いたって天気は変えられない。
これだけはどうしようもない、と目を伏せているシズちゃんの頭を撫でる。


「デートはまた今度だね、でもいいんじゃない、たまには」

家でずっと一緒にいるのも。
そう言ってやる。本当は俺も行きたくて仕方がないのだが。

シズちゃんはゆっくりと顔を上げると、そうだな、と微笑んだ。


「うん、じゃあ朝ご飯にしようか。何食べる?」
「なんでもいい」
「それ一番困るんだけど…」



一緒に立ち上がり、俺はキッチンへ立つ。
料理はあんまり得意じゃないんだけれど、シズちゃんはもっとできなさそうだし。

適当に作ればいいか、なんでもいいって言ったからには文句は言わせない。
なんだか楽しくて、ふふ、と笑う。

「なに笑ってんだよ」

ソファに座りこちらを見やるシズちゃんに、なんでもない、と答えた。


貴方がいれば

それがどこであろうと、
幸せなのだろう。
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テーマ「人外ファンタジー」
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