【第三章】闇に咲く蝶 編 −プロローグ−


「紅い月が浮かぶ夜には……人の血が似合うだろ?」

闇に潜む猟奇の牙

「最近、此処いらで辻斬りが出るんでさァ。」

乾いた喉を血で潤して

「俺は殺したいから殺すだけさ。」

それでも潤うことのない乾きをまた血で潤す。一匹の獣

「お願い、…殺さないで…。」
「銀さんっ!春歌さんがっ!」

ただ赤を欲する欲望のまま、人の血を浴びるその獣は

「お前ら、覚悟は出来てんだろうなぁ?」

血を忘れた一匹の獣を呼び起こす

「クククク、昔の白夜叉である血が騒ぎだしたか?」
「俺には守りてェもんがある。ただそれだけだ。」

人が守りたいものを手にした時

「銀ちゃんから離れて。」

心から強くなりたいと望んだ時

「絶対に許さないから。」

何者にも勝る力を得る

「じゃぁ、お嬢さん。命の殺り獲りといこうか。」

血を知らない少女は、血に飢えた獣に刃を向ける

「今度は私が守ってみせるから。」

大切な者を守るために、少女は戦場に立った

闇に咲く蝶 編

prev next

[back]