ショータイムといきますか
「お互いの名前も知れたことだし…早速、本題だね。とりあえずラビから無線で梢ちゃんのことは聞いてるよ。」
「はい。」
「キミはラビが助けに入るまでに不思議な力でAKUMAと戦っていたそうだけど…。」

コムイさんのメガネが怪しげにキラリと光った

「本当に魔法使いなのかい?」
「…はい。……まだ信じられないようでしたら…お見せしましょうか?魔法。」

ローブの裾から杖を取り出せば、興味深々とばかりに身を乗り出す人たち。特に科学班の方たちの食いつきようが凄まじい。何これ怖い

「え!?良いんですか?」

そんな彼らの言葉を代表するように、アレンが訪ねてくる

「減るようなもんじゃないしね。じゃぁ…『ウィンガーディアム レヴィオーサ 浮遊せよ』」

私は杖をヒョイっと振って呪文を口にした

「わ、わわっちょっちょ、何さっ!!?」

私の声だけが響く沈黙の中。行き成り騒ぎ出すラビに一同は視線をやって、そしてギョッとした様に目を見開いた。杖の先にいたラビの足は空中でバタバタと暴れていて、その2本の足は当然のこと地面にはついていない。何故ならラビは今、空中に浮かんでいるのだから。それが私の掛けた物体浮遊の魔法

「へー凄いなぁ…。」
「これが魔法…。」
「あわわわ、ラ、ラビが。」
「っちょ、梢っもう降ろすさっ!!」

口ぐちにあがる個々の感想が耳に届いて、私は杖をゆっくりと降ろす。それと同時にラビの身体も地面へと戻って、漸く感じられた重力にラビはホッとした顔をしていた

「じゃあ次は 『リクタセンプラ 笑い続けよ!』」
「あっははははな!なん、っでだっははははは!」

ヒョイっと杖を振って呪文を唱えれば、ゴロゴロ転げまわって爆笑しだすラビにポカーンとするコムイさん達

「くすぐり魔法です。」
「だっはははも、ちょ、わかったからっ!止めっはは!も、もう止めるさはっははは!!」
「『フィニートインカンターテム 呪文よ終われ!』」

呪文を終了させる呪文を唱えれば、今まで笑いに笑いまくっていたラビがピタリと止まって書類だらけの床に突っ伏した。何というかラビの反応が凄まじかった…正直に言わせてもらう。楽しすぎる!内心ゲラゲラ笑っている私に何処からか「やっぱりキミは悪戯仕掛け人の一員だね!」なんていうジェームズの声が聞こえてきそうだった。ぷぷぷ

「じゃあ次は…
「う、うん!そうだね!目の前でこうもはっきり見せられたんじゃ、信じるしかないね!」
「そ、そうですね!」

おまけとばかりにラビに『タラントアレグラ』軽快にタップダンスを踊り続けるという呪文をかけようとしたのがバレたのか、冷や汗を流しているコムイさん達が慌てて止めてきた。何だよ止めてくれるなよ。今からが良いとこなのに

「…というか梢は俺に何か恨みでもあるんか……。うぇっぷ」

なんか少し気持ち悪いさ…と胃を抑えて蹲るラビの背中をアレン少年が苦笑しながら摩っていた

「なぁ、梢が魔法を使う時はその杖がないと出来ないのか?」
「あ、僕もリーバーくんと同じこと思った。そうなの?」
「本当は杖がなくても出来るんです。だけどそれにはもっと力が必要で…私まだまだ未熟者なんですよね。これでもまだ魔法学校の学生ですし…。」
「魔法学校なんてあるんか!?」             

さっきまで蹲っていたはずのラビがもう復活していた。早いなおい

「うん。私たちはそこで生活しながら魔法を学ぶの…。」
「何か楽しそうさね!」
「魔法学校についてもっと聞かせてください!」
「ねぇねぇ、他にはどんな魔法があるの!?」
「やっぱりもっと見せて見せて!」
「あ、あのちょっと皆さん落ち着いて…
「もうみんなストップ!!梢が困ってるでしょ。ほら、兄さんも梢を離す!」

皆が皆、我先にという風に詰め寄ってきて近い!貴方たちちょっと近いです!という状況の中に救いとばかりに響いたリナリーの声。その瞬間、思いっきり肩を掴んでいたコムイさんの手がベリっと剥がれて、やっとの思いで私は解放されていた。…助かった

「ゴメンね梢。みんな魔法なんて初めて見るから興奮しちゃったみたいで…。」
「ううん、大丈夫。ありがとうリナリー。」

申し訳ないとばかりに、しゅんとする可愛いリナリーちゃんが見れただけで私は満足なので全く持って大丈夫です!


ショータイムといきますか
(可愛いは正義だね!)
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