黒の教団へご招待
「コイツっちょ、マジでアウトォォォォォォ!!!!」

やって来ましたは黒の教団 総本部。とりあえず門番のチェック受けるのが決まりだから、というラビの言葉で来たのは良いんだけど、アウトって何だアウトって

「ねぇ、ラビ?これ何ごと?」
「…え、俺の方こそ何ごと?」

叫んだ張本人である門番にいたっては、私に対して恐怖を抱いてるみたいに震えている。その震え方は尋常じゃなく、軽く地響きでも起こりそうだ。いや、起きてるわこれ

「ねぇちょっと何アウトとかって!!」
「ギャァァァァ!!触んなボケェェェェ!!」

何だコイツだいぶ失礼なんですけど。アウト扱いされた挙句に、触るな?ボケ?ふざけてんの?本当ちょっといい加減に黙ってくれないかな。それはイラっとしながら、魔法で口にチャックをしてやろうと杖をローブから取り出した時だった

「っ…!!?」

背後にゾクリと殺気を感じ、私は一気にその場を飛びのいた。バっと振り返れば私がさっきまで立っていた地面が、ボコリと抉れてしまっているではないか

「避けんじゃねぇ。次は切る。」

刀一本で地面を抉ったその少年の目には、ありありと殺気が漲っている。此処に来て早くもまた私に、死亡フラグが1本立った。とりあえず助けて。私はその意思を込めて、隣で冷や汗まみれで笑っている少年を見上げた



「科学班室長のコムイ・リーでーす!」

全身、白の衣装を身にまとった巻き毛の彼は、宜しくねと言って手を差し出した。そんな彼の後ろには、同じ白の白衣を身にまとった男性が何人かいた

「椎名 梢です。」

差し出された手をギュっと握り返せば、コムイと名乗った男性は満足そうに頷いた

「いやいや、しかしさっきは本当にゴメンね。神田くんが。」
「俺のせいかよ!」

「お前のせいだよ!」と言いそうになって私は寸での所で飲み込んだ。せっかく繋いだ命を此処で落としてたまるもんか。あれから私はこの神田と呼ばれた人に殺されそうになったんだけど。なんとかラビの説得のお蔭で五体満足でこの室長室のソファに座っていた。何ということだ。これでラビに貸し2つだ

「じゃあ先に軽く自己紹介をしておこうか。」

「科学班からで良いかな。」その提案にコムイさんの後ろにいた、いかにも科学班です!な白衣を着た人が2人進み出てきた。1人は顎下に少しだけ髭を蓄えた背の高い男性で

「科学班の班長のリーバー・ウェンハムだ。宜しくな。」
「ジョニー・ギルだよ。宜しく。」
「リーバーさんにジョニーさんですね。宜しくお願いします!」

もう1人は、便底眼鏡が印象的すぎる可愛らしい男性だった。しかし気になる…その便底…ちゃんと見えているのだろうか…

「じゃあ次は僕ですね。エクソシストのアレン・ウォーカーです。梢さん宜しくお願いします。」

人当りの良い笑顔を見せる白髪の男の子が差し出した手をぎゅっと握った。なるほどこれが英国紳士という奴か。しかし何処となくアレンくんはジェームズに雰囲気が似ていた。見た目は凄い紳士的で人受けの良さそうな笑顔を見せるけど、本当は悪戯好きな悪ガキみたいな所が。ま、アレンくんがそうだとは思わないけどね!うんうん!

「私もエクソシストなの。リナリー・リーよ。宜しくね。」

横からすっと差し出された右手。その手を見てぎゅっと握った時、私は正にズガン!という音が轟くかと思うくらいに大きな衝撃を受けた。リナリーと名乗ったツインテールの女の子。何ということだ……絶世の美女がおられる…

「…ラ、ララララビ…。」
「…分かったから…何さ…お前は歌でも歌いたいんか…。」

そうだよ今ならタップダンスだって踊れてしまいそうだよ!私の言いたかったことがはっきりと伝わったのか。呆れた顔しながらラビはいつまでも握っていたリナリーの手を私からゆっくりと離した。えぇい!何をしてくれる!美女と食事と悪戯は私の三大ご褒美なのよ!……って、あれ?

「あの…もしかしてリーって…。」
「そうだよ!リナリーは僕の可愛い可愛い妹だよ!」

誇らしげな表情とはこういうものを言うんだろう。その言葉通りにコムイさんは誇らしげに笑っていた。その後ろではやはり科学班の人達やラビ達がうんざりした表情を作っていたけど…なるほど皆さん苦労されてるのね…あはは

「そして最後に後ろにいるのが
「神田だ。」
「そう。神田ユウくんさー!」
「ッラビ!てめぇっ!」

行き成りどうしたと言うのだ。自分のことを「ユウ」と呼んだラビを今は刀片手に、鬼の形相で追いかけまわしている。それを不思議に思っていると隣にいたアレンが「神田は自分の下の名前が女性みたいだから嫌いなんですよ。」とこっそり教えてくれた。何だそんなからかい方があるのか…何それ楽しい。いつか絶対に言ってやろう……殺されない程度に


黒の教団へご招待
(密かに私が心の中で決意したことだった )
*<<>>
TOP