のこのホワイトデー


トントン
「うげっ!?」
変な声をあげたのはのこである。
いつか来るいつか来るとは思ってはいたが、いざ来てみると、ドアを開けたくなくなってしまう。
なんて言ってられない
のこは色んなものにつまづきながらドアにたどり着いた。
「ふー落ち着け私」
深呼吸をしてからそーっとドアを開けた。
すると、いつもどおり無愛想なライアがそーっと現れた。
『やっぱ来たー!!』
そのまま閉めてしまいたい衝動に駆られるが、またまたそんなこと言っている場合ではない。
「…えっと、どうしたの?と、とりあえず入る?」
動揺丸分かりな台詞。
だが鈍感なライアはそんなこと気にもならないのであろう。
「あぁ。失礼する」
ライアは、何故か変に中腰なのこにつっこんだりせず、中に入った。
いい香りだ。
そう思ったが、それはのこが事前に用意していた何かいい香りのする液体のおかげである。
普段はそのようなことはない。
「お、お座り下さい」
カバティでもするのかというぐらい違和感のある体勢でソファに誘導されたライアは、少し笑ってソファに座った。
そのあと、のこも究極にぎこちなくソファに座った。
「…何をそんなに構えている?」
笑いながら尋ねられた。
「へ?いや、ちょっと腰痛めちゃって…アハアハハ」
のこの額を冷や汗が一筋流れていった。
「大丈夫か?…あまり大丈夫なようには見えなかったが」
「大丈夫!うん!大丈夫!」
スマイル0円って感じの笑顔でそう答えた。
…あれ、おかしい。何この沈黙
「…えっと…それで…どうしたの?」
苦しくなってそう言ったのこの脳裏には、今までのホワイトデーのお返しが蘇っていた。
一昨年は手作りで、去年はなんか大量に買ってきてくれて…
今年は何だ?


[ 8/16 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -