烏に愛を叫ぶだけ

2011/03/11 01:14 [小ネタ]





「うっ……う、ぁ」

誰かに泣かれるのが一番嫌だと言うのに、目の前に居る最愛の人はそれを知ってか知らずか地べたに腰をかけてずっと泣いている。
クロウはダークシグナーになってからメンタルが弱くなり、情緒不安定になった。俺が居なくなってしばらく帰ってこないでいると、今みたいに泣いてしまう。まあ今はそうゆう理由で泣いているわけでは無いみたいだが。

「ううっ、きょ、すけ」
「うん?」
「きょ、すけ……京介、京介京介」

ひたすらに俺の名前を呼んだ後、俺へと抱きついた。その時も小さく京介と名前を呼び続けている。
彼は今俺だけを必要としている。俺だけを思って名前を呼んでいる。それだけで俺は満足で、優越感に浸れる。

「クロウ」

俺の腕の中にすっぽりとはいってしまう体を力いっぱい抱きしめて、耳元で名前を囁いた。クロウは微かにかかった息が痒かったのか、身を少し捩る。

「クロウ、怖いのか?遊星に、ジャックに会うのが怖いか?それとも負けるのを恐れているのか?」

クロウは腕の中で首を横に二回振った。そして小さく言った。

「死ぬのが、怖い」

震えた声がそう紡ぐと、俺はクロウの頭を撫で「大丈夫」と何度も言い聞かせるように言った。

「大丈夫だクロウ、俺達は死なない。だってもう俺たちは死んじまってるんだからよ」

クロウの涙は止まった。だがその代わり、つかの間の息も止まった気がした。


END

情緒不安定で泣いちゃう黒たんが書きたかっただけですので始終とかあんまり考えてません(笑)←




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