君と学んでゆく


人間は完璧じゃないって言うけど俺の知ってるやつは完璧って言葉が似合う変なやつ。

「越前リョーマ!ボタンをちゃんと止めなさい!」
「はいはい」

朝は服装チェックで引きとめられた。遅刻しそうになってたときって、いちいち確認しないじゃん。それに苗字だってスカートの丈、……そこまで短くなかった。でも長くても綺麗な足だなっていうのはわかった。

苗字に対して一番謎は、いつも片手に持ってる辞書。しかも分厚い。苗字ってば、いつも難しい言葉使うからあんまり喋りたくないんだよね。なにそれ?って聞くと辞書に書いてある意味を永遠と言い続ける。正直乾先輩より、やっかいな人物かもしんないね。

「なんで?」
「?何がよ」
「辞書。いっつも持ち歩いてるじゃん」
「越前リョーマに教える意味はないわ」
「筋トレ?」
「なんでそうなるのよ」
「じゃあ何で」
「…知らない事があるのって、なんか許せないじゃない」

変わったやつ、本当この一言で言える。でも嫌いになれない。俺はもしかすると苗字の事が気になっているのかもしれない。

「ねえ、アンタ、恋って知ってる?」
「恋、特定の異性に強く惹かれることね、まだ未体験だから私は恋の知識はないわ」
「未体験、ね」
「わ、悪かったわね!」
「別に。じゃあその恋ってやつ俺が教えてあげるから」
「は、は?!」

ここから、苗字の頭の辞書に恋という単語が刻まれるだろう、というか刻ませてやる。



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