心を満たして


昼休み。いつもなら友達とガールズトークをして時間を持て余しながら過ごしていた。今は捕まっている。誰に?それは、越前リョーマにだ。

おかしいのは越前リョーマと付き合ってからだ。もともとは越前リョーマから告白された。顔もよし、運動もよし、だから付き合った、と言っても間違いではない。誰だってそうだろう、顔は大切。越前リョーマが得意としてるテニスも今のまま成長すると世界にも通用してお金まで持つ男の子になる。
そんな越前リョーマの告白を断るというのは、頭にはなかった。

「ねえ、聞いてんの?」
「…それより離してくれると嬉しいな〜」

私も暇ではない。女子という恐ろしい友情の塊について行かなくてはならない。トイレに行く時でさえも集団行動。さすがに疲れる。でも、ついていかなきゃ。じゃないと、ひとりに、なる。

「俺がいるからひとりにならないと思うけど」
「は?!だ、誰もそんなこと求めてないから!」
「ふうん、本音はどうだか」

私は孤独に恐れているんだと思う。小学校卒業して一緒の中学校に来るはずだった、一番の友達が転校してしまった。別に連絡は取り合ってるし、たまに会って遊んだりする。でも、でも。学校では友達と言っても偽りのような表面だけの関係。いつ崩れるかもわからない関係。

「もう一度言うよ、俺は名前をひとりにするつもりはないから」
「………。」

このまま越前リョーマと彼氏彼女という関係で固めたらひとりにならなくて済むのかな。利用する形でも越前リョーマはいいのだろうか。



戻る

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -