「お腹すいた！」
「そーっすね」

越前くんと十歩くらい歩くと、この会話も繰り返される。中学生だからお小遣いも当然少ない。いや、少ないわけじゃなくて、つい使っちゃうのが原因なんだけども！お正月のお年玉も貯金せずたっぷり使っちゃうからほぼ所持金はゼロに限りなく近い。やばい。

越前くんと決意を決めて近くのファーストフード店に入ろうとした。
…二人合わせて370円。この金額だと食べ盛りの男子中学生とよく食べる女子中学生には満足できない量しか食べれないわけで。

「あ、ちょ、越前くん！待って！」
「なに、先輩」
「これ！これがあった！」

私が取り出したのは河村寿司15分食べ放題券だ。確かこれは一年生歓迎会の景品で椅子取りゲームの優勝者に与えられたものだ。お尻アタック最強女という称号までも与えられたから嬉しいのか嬉しくないのかよくわかんないけど今回はこれでお腹が満たされるはずだ。越前くんも私もタイミングを計らったのかとぐらいに同時にお腹が鳴った。

「よーし、河村寿司を食べまくるぞー！」
「ウイッス！」

珍しく越前くんがノリノリなので越前くんには海苔のお寿司ばっかり食べさせようっと。

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