「マジかよ。姫って、ああいうのがタイプなのか?」
「ああいうのって…入江お前、なかなか失礼な奴だな」
「いや、だって…逢沢先輩って姫よりチビだろ?ありえんて」

そうなのだ。姫は体格こそ華奢だが、身長は女子の平均より少し高い。おそらく165cmくらいはあるだろう。手足が細長く、モデル体型だ。対して逢沢先輩は158cm。17歳男子の平均身長を大きく下回っている。下手したら体重なんて同じ位かもしれない。そんな男を好きになるだろうか。普通。

「お前、それは偏見だろ。身長とか、気にしない子もいるぜ?今は」
「そりゃまぁ…そうかもしれんけど」

それにしたって何だか俘に落ちない。俺はその場に立ち止まり、再び部室の方に視線を向けた。姫はまだ各務先輩と話している。長身同士の美男美女。端から見たら完璧カップルである。

「各務先輩だってんなら分かるけど」
「逢沢先輩じゃ、納得いかない?」
「うーん。だってあの人さぁ…」
「童貞っぽいしな」
「そうそう…って、うわぁ!先輩!」

頷きかけ、隣を見遣った俺は、思わずその場でひっくり返りそうになった。てっきり隣にいると思っていた三好が、何と逢沢先輩と入れ替わっていた。

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