隣にいる彼の口から出る嘘が、私の頬を撫でる。顔に作ったような嘘を貼り付けて、口からヘドロのような優等生を奏でて、表に出す全てが作り物のような彼は、しかし他の者にとってはカリスマ性のある素晴らしい人間だった。

「君が必要なんだ。君しかいないんだ。魔法使いも狼男も水魔も全てのモノが幸せな未来を築くために。幸せな世界を君と見たい」

知っていた。それが嘘だということも、“全て”に含まれるものが実はごく限られたものであることも、彼が必要なのは“私”ではなく有能な駒であることも。けれども彼のつむぐ嘘に囚われた私には伸ばされた手を取るしか選択肢はなかった。

「わたしもよ」

疑惑



周りから畏怖と好機の目で見られ、親にですら遠巻きに腫物のように扱われていた少女は、自分を必要だとのたまう悪魔(トム・リドル)にとらわれてしまいましたとさ。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -