小野ちゃんのトランペットは、正直言えばへたくそだ。経験者ばかり集まる白翔の音に、彼女の音は耳に余る。性格だってうじうじしていて落ち込んで下を向いて、だけど負けない。落ち込んでも、すぐに立ち直り、立ち向かってくる、強さがある。

遠くに届けと、空に向けてトランペットを吹く彼女。彼女の音はまだ拙く、揺れも外れもあるけれど、純粋に心に響いてくる気がする。普門館だ金だなんて、それだけしか考えずに吹いていた俺らの音よりも。

より一層高い音が冷たい空を駆けた。彼女を見るとその横顔はとても真剣で、その空に広がるような温かい音と、その表情に俺の胸がとくりと鳴った。





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