「応援団?」
「ああ、浜田に誘われて…」
「…」

久しぶりのデートで打ち明けるのも何だか憚れたが、結局俺は俺の部屋の机の俺の真向かいに座る彼女に告げた。この間出来たばかりの野球の応援団。去年クラスの一緒だった(留年しやがった)浜田に誘われて、俺はそれに入ることにしたのだ。野球の夏大は何だかんだですぐそこに迫ってきているし、応援の曲決めや振付の練習をしなくてはならない。応援が下手で恥をかくのもかかせるのも嫌だし、俺らの応援次第で選手のやる気を出すことも削ぐことも出来るというのだから、ぶっちゃけ、毎日練習しても足りないほどで。つまり、今日俺が、今目の前で俯き肩を震わせている彼女に何を打ち明けたかと言うと、まあ、放課後も土日も応援の練習ということで、会える時間が多分殆どないと言うことだ。
そう告げれば、彼女は下を向いたまま黙ってしまった。小刻みに肩も震え、多少罪悪感のある俺は少し、そう、少し困ってしまった。

「えー、っと、ごめ」
「っあはは!」
「…え?」

どうしよう、といろいろ考えながらしどろもどろで声をかければ、返ってきたのは彼女の泣き声、ではなく、これでもかというほどの盛大な笑い声だった。あげた顔は目尻に水を溜めてはいたが、それは笑いすぎの生理的な涙であることは間違いなく、間違っても俺とのデートの時間が減る事を悲しむかわいい女の涙ではない。

「応援団!圭介が応援団て!」
「…なに」
「似合わない!」
「失礼だなお前」

まあとりあえず、心配はいらなかったようです。

そんなストーリー
(ただちょっと彼氏としては悲しいんですが)

おおふりの梅原と彼女
(マイナーとか言わないで!)
Title by 花洩



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