ディセンダーくんが○○を使わない理由




※ ゲーム中盤以降の設定です


「………え?」
「いやだから、なんでお前は『スペシフィック』を使わないのかな、って」

お母さんに近付く輩の1人、ガイが俺にそう聞いてきた。
なんでって、なんで? 別にガイには関係ない、よね?
なんで聞くのかな。

「………答えにくいか?」
「んーん。えと、ね。お母さんが、『もし使うなら、2人っきりの時だけにして下さいね』って」

顔を赤くしながら小首を傾げて言われた言葉を思い出してガイに言えば、ガイはぱちりと目を瞬いた。

「2人っきりの時? そりゃあなんでまた?」
「うーん、わかんない」
「それ言われた時、何があったんだ?」
「えー、」

何があったかな、と呟いて、言われた時の状況を目を閉じてゆっくりと思い出した。




   □■□




それは、お母さんとお父さんと三人でガレット森林区にクエストをやりに行った時の事だ。
3人とも体力が減ってきたので、スペシフィックを使うことにした。
お母さんとお父さんのTPは戦闘にとっておきたいもんね。
そう思ってスペシフィックの蓋を開けた。
こくっと中身を一口飲んで、はい、とお母さんにスペシフィックを渡した。
お母さんもこくりと中身を飲んで、隣にいたお父さんを見上げる。
びしっと音がするぐらい固まったお母さんは、かぁっと頬を赤くしてスペシフィックを落としそうになった。
そんなお母さんにため息を吐いたお父さんはスペシフィックが落ちる前に奪い取り、お母さんの両目をそっと手で隠して、スペシフィックに口付ける。

「お父さん? お母さん?」

どうしたの、なんか変。
そう言えば、俺にスペシフィックを返しながらお母さんの目から手を離したお父さんは、首を横に振りながら目を細めた。
その時、お母さんの小さく掠れた声で名を呼ばれる。
優しくって甘々で、俺が一番大好きな声。

「なに、お母さん」
「あの、えと、次にスペシフィックを使うときは2人っきりの時だけにして下さいね」
「? お母さんと?」
「そう、わたしと君の2人っきりの時だけに」
「………そうだな、そうすると良い」
「お父さんまで」

なにそれ、変なの。
つん、と口を尖らせて言えば、お母さんとお父さんは揃って苦笑していた。




   □■□




「………ってことがあっただけだし、」
「ちょ、お前、それ、」

口元を抑えたガイがふるふると身体を震わせた。
………?

「ガイ?」
「………ちょっとクラトスの旦那と話付けてくる」
「なんで」

ガルディオスの宝剣を片手にお父さんのところに行こうとするガイを、見送ることなく俺はガイを引き止めた。

「お父さんに手ェ出さないで」

ってか、お父さんが何したって言うの。
そう不満を込めて言えば、ガイは苦笑しながらため息を吐いた。

「まぁ、そうだな。お前が悪いんだしな」
「えぇ?」
「説明してもわからないだろうけど」
「??」
「仕方ない、か。お前、ディセンダーだもんな」
「???」

よくわからない、と首を傾げれば、ぽむぽむと頭を叩かれた。




ディセンダーくんが○○を使わない理由



- 76 -

[] |main| [×]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -