本音は何処に?


「お母さん、見て見て、きのこー!」
「見せてる場合じゃないです、マンドロテン来てますから!」
「よォし、やるか!」
「カイウスさん、鎌投げちゃ駄目ですよ!」
「ファイアーボール! あ、」
「ああああああ、なんできのこに当てちゃうんですか、ルビアさぁぁあぁん!!」

つ、疲れるこのパーティ!!!




   □■□




きのこを3つ、というクエストをやっていたのに、きのこ採取が楽しいっていうことに気付いたディーヴァくんは鎌が無くなるまできのこを採取して、モンスターが現れたと思ったらカイウスさんが持っていた鎌を投げて剣に持ち替えるという危ないことをし、炎系の魔法を唱えたルビアさんがディーヴァくんが採取したきのこを燃やすという悪循環を3回も繰り返して、ようやくわたし達はバンエルティア号に帰ってきた。
………いいなぁ、若いって。

「依都、お疲れ様」
「ファラさん」
「………なんか泣きそうだね、大丈夫?」
「はは、大丈夫ですよ」

機関室でチャット船長にクエスト完了の報告をしていると、ファラさんがホールから降りてきた。
その手にゼリーみたいなのが握られているから、彼女もクエスト完了の報告に来たんだろう。

「オタオタゼリーが3つ、確かに納品して頂きました」
「うん」
「こちら報酬です。お疲れ様です」
「チャットもお疲れ様」

なんていう2人のやり取りを聞きつつ、ぼんやりとしているとチャット船長と目が合った。
そうして依都さん、と名を呼ばれる。
え、なんだろう。

「なんでしょうか、チャット船長」
「依都さん、あまり機関室来ませんよね?」
「あぁ、わたしがやるクエストは、全部ディーヴァくん繋がりだからだと思います」
「そうですか」

ふむ、と悩み出したチャット船長は、そのままじいっとわたしを見て来た。
………?

「依都さん、それでは駄目だと思います」
「っ!」

いきなりのダメ出しに息を飲む。
だ、だめ?! え、なにがっ?!

「クエストを行うに当たって常に受動的ですよね? その、ディーヴァさんに誘われるままにクエストをしていると、浮きませんか?」
「………は、」
「チャットは心配してるんだよ、依都」
「………!!」
「なっ、ファ、ファラさん!!」

顔を真っ赤に染めたチャット船長を見て、わたしもかっと顔を赤く染めた。
し、心配されてる………?
え、あ、孤立してないよ!! ………たぶん。

「えっと、つまり、自分でクエストを確認してわたしから同行者を誘え、ってことですよね?」
「………まぁ、別に、無理にとは言いませんが」
「わ、わかりました。なるべくそう出来るように頑張ります」
「別に、貴方が何もしてないわけじゃないのはわかってます。パニールさんの手伝いとか、なさってるでしょう?」
「あ、はい」
「ただ、今は人が少ないから人手が欲しいんですよ」

ぷいっと顔を背けて言うチャット船長に、肩を落としてはい、と頷けば、背後でファラさんがくすくすと笑っていた。
え、なに。なに?!

「チャットはね、寂しいんだよ」
「え」
「なーーーっ! ファラさん!!」
「チャットも依都に会いたいの。ね?」

え、そうなの?
改めてチャット船長の顔を見れば、見る見る赤く染まっていく。
───あ、

「チャット船長………」
「ぼ、僕は別に寂しくなんてありませんっ!!」
「じゃ、じゃあ、わたし、来なくても………?」
「それはっ………」
「依都? チャットを苛めちゃ駄目よ?」

い、苛めてはないよ、苛めては。

「え、じゃあ、もっと機関室に来るようにしますね、チャット船長」
「………えぇ、是非そうして下さい!」

ちょっと怒るように言ったチャット船長に笑んで、そのまま3人で夕飯を食べに食堂へと足を運ぶのだった。



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