「ティア、ちょっと良い?」
「? なにかしら?」
「えい」
きゅむっとティアに抱き付く。
するとティアは顔を赤く染めて固まった。
「え、えぇ? ど、どうしたの、」
「ティア、柔らかくて暖かいよぅ」
「………どうしたの、本当に」
「あの子に抱きつかれるんだけど、鎧が硬くて冷たいんだもん」
「あぁ、」
あの子、とはわたしを「お母さん」と呼ぶあの子のこと。
抱きつかれることには慣れてきたから構わないと言えば構わないんだけど、鎧は冷たくて嫌だ。
「ふふ」
「? なぁに?」
「年上とは思えないわね」
「………ごめんね」
「悪いことじゃないわ。私なんかでよければ、その、いつでも甘えてくれて構わないのよ」
「………ティア!」
さらにきゅむっと抱き付く。
ふわわ、胸が暖かくて柔らかい。
女の子っていいなぁ、本当。
「かわいい」
「へ? ティア、なんか言った?」
「ううん、何でもないわ」
ぎこちない手付きで頭を撫でられて、わたしはきゅうと目を瞑った。