これが噂のトリップかー。確かにそういうのには憧れていたけど。うん、どうしよう、いざ自分がなるとどうすればいいかわからない。うーーーん、まぁなんとかなるよね!
ここでくよくよしたって仕様がないもんね!…ただ元の世界に戻れる方法を探さないと。
私がもやもやと考え事をしていると…――

「………ねぇ」
「…ん?……わぁっ!」

いつの間にかレッドさんは私の隣に居て、しかも、キス出来るんじゃないかってくらいに顔が近かった。これは驚くしかないでしょ!私は慌てて後ずさる。

「な、なんでしょう…?」
「…名前」
「え?」
「…聞いてないから」
「え、私のですか?」
「うん」

そういえば、してなかったけ?
名前を言う分には…問題ないよね?

「えっと、…ミハルです」
「ミハル」

いきなりの呼び捨てに少しドキッとした。絶対に顔赤くなってると思う。男の人に呼び捨てされるなんてお父さん以来なんだもん !いや、名前しか言わなかった自分が悪いけど。

「…ミハルは、…挑戦者?」
「…挑戦者…?」

挑戦者……待って…あ、そうか。ここはポケモンの世界だからバトルのことだろうか。バトルって……っ!あのレッドさんと!?

「いやいやいや!滅相もございません!かの有名なレッドさんとバトルなんて!!恐れ多い!!」

原点にして頂点であるあのレッドさんにトリップしたばかりでしかも、ポケモン一匹も持ってない私がバトルなんて出来るわけがない!

「……違うの?」
「はい!!」
「…じゃ、どうして此処に?」

それはあまり聞いて欲しくない質問だなぁ〜。実は異世界から着ましたーあはは!なんて言ったら変人扱い間違いなしだよ。かと言って上手い言い訳も思いつかない。
沈黙が長くなればなるほど嘘臭くなる。此処は兎に角何か言わないと!

「………」
「……〜〜っ!」

レッドさんは綺麗な赤い瞳で私を見据える。それはすごく綺麗で私は思わず目が奪われた。そして、怯えた。
どう見ても獲物を逃がさない猛獣の目。…どんな嘘着いてもバレる気がした。なんというかお見通しって感じで、初対面なのに。

「…本当のこと言います…その、絶対信じてくれますか?」

私がそう言えばレッドさんは小さくこくんと首を縦に振った。信じてくれなかった、麓までおろしてくれるように頼めばいいか!!当たって砕けろだ!



(なんとかなるでしょ!)


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