「フフフッそこまでしてくれないのなら俺だって手段があるから」
「ど、どんなことされても部活なんてしませんよ!」
「これを見て、まだそれを言えるかな……?」

魔王様はそれはもう輝かしい笑顔を浮かべる。なんか、魔王様の笑顔の裏には恐ろしい何かが潜んでて怖いです。てか、さっきから怖いという感情しかないわ。
紙袋から箱を取り出すと魔王様の笑顔は一層輝く。そして、その箱を開き何かを取り出し。……え?そ、それは……!

「じゃっじゃじゃ〜ん♪フフッ、蜜柑ならこれが何かわかるよね?」
「さ、沙織ちゃんと碧さんの幼少期姿のフィギュア!!…も、もしかして、それで釣る気?ハッ残念でした。私はそのフィギュア「あ〜、言い忘れたけど、これ蜜柑のだから」……なん、だとぉ……?

あの幼少期フィギュアは某コンビニのくじでしかも一等を出さないともらえないそれはもう貴重なフィギュアだ。
それが何故ここに…?あれは私のリビングでそれはもう大切に保管してある筈だ。……というか、あれが私の物とは限らないぞ?そうだよ、もしかしたら魔王様が偶然同じなのを持ってる可能性もあるよね?

「疑ってるようだけどこれは列記とした蜜柑の物だよ?」

魔王様はフィギュアが入ってた箱から一枚の写真を出す。その写真には魔王様とフィギュアを持った真二ママがピースを写していた。
真二ママには私の家の鍵が…ある……真二ママァアアアアアアアア!!!何頬を赤らめてるんだあああああ!!??

「蜜柑がマネージャーになることを断ったら…このフィギュアどうなると思う?
「え…」

どうなるの?今の私は動揺しすぎて思考が完全にシャウトしてる。全然思いつかないし、考えれない。
こんなに動揺する事ってあるのだろうか?額から汗が滲み出るのが感じる。考えろ、考えるの!

「フフッ、わからないって言いたそうな顔だね。わからない君に少し実践してみよう!」
「え?」

魔王様はフィギュアを上に掲げ、皆に見えるようにした。そして、壊すかのように手に力を込める。それはまるで公開処刑をするようにも見えた。

「フフッ!蜜柑どうする?このままじゃ、コレ潰れちゃうよ?」
「ッ!」

な、なんとかしないと…!で、でも、私じゃ魔王様に到底敵わない。…やる事はひとつだけだ。しかし、これをやれば私の録画見る時間や漫画を読む時間を犠牲にしてしまうが、これも沙織ちゃんと碧さんの為か。
私は拳を握り締めることしか出来ず、ゆっくりと視線を魔王様に向ける。上手く開かない口を必死に動かしていく。

「わ…わかった…や、やれば…いいんでしょう…!!」
「フフフッ!というわけで、今日から蜜柑はテニス部のマネージャーだ!皆、仲良くするんだよ?」

魔王様はそれはもう上機嫌に皆に告げる。周りにいた人達は少し怯えつつも気合の入った返事は部室に響いたのであった。

今日は厄日なんだろうなー…先生にDS取られるしパシられるし、沙織ちゃんルート完全制覇の前にデータが消えるし、フィギュアを魔王様に取られるし、テニス部のマネージャーにするし!
これも、これも、これも…――伊藤のせいだああああああああああ!!!




藤堂、部活始めるってよ
(フィギュア返してください!)(返すわけないだろう?)(え)(サボったらこれ壊すからね^^)(バレてるうううう)(フフッこれから楽しくなりそうだね!)(私は全然楽しくないです)


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