「私絶対しないんだからね!」

あ、ちょっとツンデレ風になったテンション上がる!!じゃなくて、私は意地でも部活はしないんだ。

しなかったら、どうなると思う?

魔王様はそれはもう綺麗でいてとても輝かしい笑顔をしてるのですが、後ろのオーラはもうどす黒い。いや!こんな事で負けるな蜜柑!私は強い子!!私の愛すべき人たちの為に頑張らないと!!怖気ついたら駄目よ!!

「…お、脅したって駄目なんだからね!」
「何故、それほどまでにマネージャー……いや、部活をしたくないんだ?」
「うおっぷ!?」

先ほどまで扉の近くにいた糸目くんがいつの間にか私の隣に立ち、問いかけてくる。ここの人達はなんなんだ、気配隠すの上手すぎ、忍者の末裔か何か?驚いたやないか。

「………何時から其処に?」
「そんな事はどうでもいい、なんでしたくないんだ?」

いや、どうでも良くないと思うんだけど。もしかしたら忍者だったらサイン欲しいじゃん?
なんて事を考えてたら糸目くんに睨まれた。いや、目開いてるかわかんないけど。言うしかないみたいだ。

「……部活したら…」
「したら?」
私が溜めに溜めた録画見れなくなるじゃない!!

深夜アニメはどうしても見れない場合が多いからね。録画した深夜アニメは学校が終わり家に帰ったら見るわけだ。勿論其れだけじゃない。ゲームをする時間、漫画を読む時間だって減るし、その日に出た新刊をすぐに買えないじゃないか!!正直今だってこんな事してる暇はないんだ!今日はずっと待ち望んでたBL本の発売日なんだからね!
熱弁してやれば、周りの空気はそれはもう冷え切ってしまった。でも蜜柑ちゃんはこんな事ではめげません。これでも十何年もオタクはしてないからね!こんな空気には慣れてるよ!

「と言う訳で、私には無理です。他の人に当たってください」
「それだけの為かよ」
「それだけぇ……?」

聞き捨てならない言葉を耳にしてしまった。ははぁーそれだけねぇー?ははは……笑えねーよ。
怒りが激しい波のように全身に広がる。お前は私を怒らせた。すぅーっと目一杯肺の中にいっぱい空気を入れた。

「あなたにはそれだけかもしれないけど、私にとっては大事なことなんだ!!じゃあ、なに?!録画を見る時間くれるんですか?!漫画を読ませる時間をくれるんですか?!出来ないでしょう?だって、あなたそう言うこと決めるくらいの権限はないでしょうが!!」
「「「おお…」」」

(((コイツ変だ……)))

皆の心が一つになった瞬間だった。

「それにね…「はいシャラ――ップグフッ!?
「一旦、落ち着こうか☆」

(((流石幸村!たった一発で変な奴を黙らせた!!)))

魔王様……手加減なさ過ぎます……やばい、お腹殴られたから、吐きそう…真二ママの特製愛妻弁当を吐き出しそう…うぇっぷ。

「本当に蜜柑は面白いねー、普通この状況だったら女共は喜んで引き受ける所だよ?」
「あの……ちゃっかり自意識過剰入れないでもらえますか…あと、吐きそうです」
「本当のことだよ?毎年、マネージャーの入部届どれくらいかわかるかい?1万枚だよ?」
「いやいやいやいや全校生徒合わせても1万にならないですよ!?おかしくないですか!?」
「他校からも何故かくるんだよねー」
「人気ありすぎ!!こわっ!!」

1万枚って他校からもってありえなさすぎ、怖すぎ!他校って…阿呆やん、絶対無理やん!テニス部のどこがそんなに良いのかわからない……、皆必死なんですね、それはわかりました。
あ、吐き気収まった!よかったー!これで無事真二ママ特製の愛妻弁当を汚い形で戻さなくて済んだよ!!

「それで、ミーハーをぽいぽい入れると仕事してくれないから俺たちだけでマネージャーを決めてるんだよ」
「だから、マネージャーいないんですね」
「でも、なかなか決まらなくて、やっぱりいないと困るんだよねー」
「そうですか!それは大変ですね!見つかるといいですね!いいマネージャーさんが!」
「そこで!蜜柑に頼みたいんだ。お願い?」
「いやいやいやいや!そんな可愛い上目遣いされてもしませんよ!」

さっきの笑顔とは一変して、魔王様は放送禁止間違い無しの恐ろしい程にどす黒い表情になり舌打ちをされた。いや、超怖いっす、そんな間近で舌打ちしないで。
すると、魔王様は笑顔を取り戻し、仕方ないと小さく呟いた後紙袋を何処からか取り出した。



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