「なんだよぃ、幸村くん?」
「練習中ですよ?」
「何かあったのか?」
ぞろぞろ入ってきた人たちにはテニスラケットを持ってる人がいる。恐らく、この部室はテニス部のものと断定した。
この人たち、中学生とは思えない背の高さだ。高校生というか大学生って言ってもいいかもしれないよ。これ以上成長したら2mになるんじゃないの?
「フフッ、やっと来たね?この子を紹介するよ。蜜柑」
いつの間にか私の後ろに立っていた魔王様。気配なさすぎ怖い。そして、何故呼び捨て。というか、名前言いましたっけ?ま、いいや!
「藤堂蜜柑と申します!見ての通りの地味女です!あと腐女子です!宜しくお願いします!」
自分で言っといて何だけど、何を宜しくするんだろうか?自己紹介する意味とは一体。
印象が良いとも悪いともならない本当に普通な感じの自己紹介にしてみました。私がぶりっ子しても吐くだけだからね!!なんか悲しいな!!
魔王様は私の耳元に顔を近づけ、囁く。
「最後に"一生懸命がんばりますね!"も言え」
「もう命令ですね」
「言えつってんだろ?」
「これから一生懸命頑張りますね!」
なんで文字は赤いのに魔王様の笑顔は黒いんですか!!怖いよ!!人一人殺しそうな笑顔だよ!!いやそれどんな笑顔かわかんないけど!!
……ん?何か引っかかるぞ。私は何を頑張るんだろうか?
「てなわけで、この子が今日から"テニス部のマネージャー"になる藤堂蜜柑さんね。皆も仲良くしてやってね」
やっりぃ!やっぱここはテニス部だったみたい!予想的中………ってはい?
はははは、えっと…あはは…うん、魔王様今なんと仰りました???
「今日から蜜柑はテニス部のマネージャーって言ったんだよ」
「わざわざご丁寧どうm………………はああぁぁぁぁぁ!?」
え、私が部活するの??しかも、あの我が校有名なテニス部のマネージャーに??何故こうなったし??え???
いやいやいやいや!!私今までテニス部の人たちと関わったことないし、知り合いいないし!!え??ええ??ええええ??
「フフフフッ、喜んでるみたいだね?」
「どういう目をしてたら、そうなるの?!」
「こういう目?」
「上目遣いするな!いちいち可愛いなコンチクショー!つか、マネージャーとかしないし!部活とかしない!!」
「部活をせんとはたるんどる!!」
「うるせーな!!こっちは人生掛かっとんじゃおっさんは黙っとけあほんだら!!」
「あ、はい、すみません…」
こっちはね!!オタク魂掛けとんじゃ!!人生かけとんじゃ!!おっさんが口出しする問題ちゃうねんあほんだらあほんだらあほんだらあほんだら!!
そう言ってやれば、おっさんは泣きそうな顔で後ろに下がった。口ほどでもねーな!!てか、そんな事より…――
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