意外にも素早いガム少年はすぐに私の目から見失った。其れでも諦められない私は又辺りを隈無く見渡し、ある教室が目に入る。それは"保健室で"ある。
…もう授業も始まっているし、右膝を負傷しているから行ってみようかな?これは決してサボりではない!!断固として言う!!沙織ちゃんルートをしたいが為のサボりではないのだよ、諸君!!!←
でも、保健室の先生は男子には甘いのに女子には厳しい典型的な男好きなのだ。三十路にもなって何してんだって話だけどね。授業中の保健室に出入りは女子限定で拒否されるのだ。
どうにかお世辞を上手く言って休ませてもらおうかな?…んー無理そうなら又屋上にでも行こうか。仁王くん居そうだけど、否、意外に真面目に授業受けてるかも?あの見た目からして有り得ないか。(酷)
んんんんっ!考えるより行動!当たって砕けろだ!!追い出された時のことは追い出された時に考えよう!!よし!!
ガラガラと保健室の少し古めかしい扉を開く。

「失礼しまーす…」

反応がない。まるで屍の様だ。これはもしや先生居ないパティーン?出張的な何か?ぉおお!ラッキィイイイ!!沙織ちゃんルート出来るじゃん!あ、決してサボりじゃないよ!?←
白いカーテンに覆ったベッドに向かうべく、足を進める。そして二つあるベッドの右側の方のベッドに入ろうとした瞬間だった。本日二回目の手首掴まれ事件。しかし、今回は誰かわからない。え、これ何気怖い。
え、誰!?さっき誰かがいる気配が無ければ、誰かが入る気配も無かった筈。もしや…おばけ!?私は恐る恐るゆっくり後ろを振り向こうと…。

「こんにちわ」
「うぎゃああああああお化けが喋ったああああああ」

振り向く前に挨拶をされた。挨拶するお化けなんて初めて知り合いました!!まずお化けの知り合いいないけど!!

「失礼だなぁ。俺は列記とした人間だよ?」
「ふぇ…?」

半泣きになりながら、恐る恐る後ろを振り向いた。そこには綺麗なお顔をおねsあっ、ズボン穿いてるから男の人だ。お兄さんがいた。
レイヤーさん以外で三次元の人を綺麗って思うの初めてな位にお兄さんの顔は本当に綺麗だった。うん、女の人に間違うくらいに綺麗。美青年ってまさにこの人の為にある言葉だ!

「フフッ、落ち着いた?」

そう言いながらお兄さんは優しく微笑む。何これ綺麗。声まで綺麗。…でも、逆にこの笑顔を少し恐怖を感じるのは何故だろう?w
警戒しながらも、すみませんとコミュ障独特の小さな声で呟く。綺麗なお兄さんはいいんだよと言いながらまた微笑む。綺麗だけどやっぱちょっと怖いかもw

「あれ…怪我してるの?」
「え、まぁ…ってすっごい血出てる!?いつの間に!?」
「手当してあげるよ」
「え、え、い、いいですよ!?」

その綺麗な指に私の汚らわしい血が付くなんて事になったら罰が当たりそうだよ!!

「だめだよ、女の子なんだから傷跡が残っちゃいけないだろ?」
「お、おお…はい…」

そんな綺麗で優しそうな顔で少し強く言われると流石の私も断れなくなってしまうじゃまいか。今日はやたらと人に親切されてる気がする。
私って、話しかけたれないか、扱いがひどいかされたことないから、こう、親切されるとどうしていいかわかんないや。
そんな事を考えてると綺麗なお兄さんは救急箱を持ってきた。本当に治療してくれるようだ。てきぱきと手際よく手当をしてくれる。
何だろう…こう云うイベントあったなーそうそうばきメモの拓未くんだ!こんな風に優しく手当するイベントあったなぁ。
あの後普通に照れて終わったけどさもっとこう…押し倒すとかいうイベントとかいれてもよくね?でも、拓未くんって優しくて純粋だからなぁ〜。でも、そんな子が行き成り狼になるとかもいいかもしんねぇ!ちょっ、めっちゃいい妄想出来そうなんですけど?!

「フフフ」
「!?…な、何でしょう」

綺麗なお兄さんは俯きながら、まるで別人の様にそれはもう恐ろしい位冷たい声で笑う。
すると、綺麗なお兄さんはすぅっと私の手を自然に優しくとって、そして…――握りつぶし始めた。

「い、いあだだだだだ!?お、お兄さんんんっ!?」
「フフフ、俺の事を女と勘違いした挙句に俺を使って他の男の妄想するなんていい度胸だね

私声に出してないはずなんですけど?え?なんで??なんで文字が赤いのに表情は黒いの??え??この雰囲気はまるで魔王だよ??え??怖いんですけど??え??

「魔王だなんて酷いなぁ只少し黒魔術が使えるだけだよ?」

先生ー!私口に出してないのに会話できてるのおかしいと思いますー!それを魔王様って言うと思いますー!てか、手離してくださいー!折れる!!ガチで折れるからぁああ!!

「うん。離してあげるよ。目的地に着いたらね☆」
「そんな可愛らしい笑顔で言われても魔王様が行きそうな場所なんて行くわけ……ッぁぃだだだだだだ!」
「そう言うと思って今から眠らせる」
「やっ…ぱ…まお……う…じゃね…か…ぁあ…」

最後の授業の終礼のチャイムが鳴り響く中、私の意識は遠のき、最後に見たのが魔王様の其れもう輝かしい笑顔でした。

「フフッ…本当に君は面白いね」




魔王様は居た。
(グォオオオオオオオ)(…それにしても凄まじい程に鼾と寝相が悪いね)(……幸村、これはなんて生き物だ)(一応、人間かな)

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ちょっと長くなっちゃいました/(^o^)\


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