「フッフフ〜ン♪」

鼻歌を歌う私はDSを見つめながらとても上機嫌に階段を下りていく。ずっと攻略出来なかった沙織ちゃん隠れ・真ハッピーエンドがやっと攻略できたのだ。
険しい道だった…。徹夜しては碧さんルートに入り。徹夜しては琴子ちゃんルートに入りと苦労が耐えなかった、この沙織ちゃんルート。プレイ時間約一週間。本当に長かった。
…お、後は最後のCGとエンディングが終われば、このゲームが終わる!!長かったなーでも、其以上に面白かった!今度はこのゲームの乙ゲーをやろうかな?いや、でもこの続編もいいかも!
次に挑むゲームの事を考えているとテンションが上がってしまい、私は思わず一気に階段を5段跳びをした。

―――…下に人がいると言うのに。

「何しよっk…って、そこのガム食ってる子!危ない!」
「ん?」
「「ぎゃあああああ」」

案の定ぶつかる。相変わらず自分の叫び声は色気がないぜ☆そんな事よりも!
私は強くぶつけ、じんじん痛む頭を摩りながら辺りを勢いよく見渡す。どこ、どこどこ、何処!?

「いたたた…お前!どこ見て歩いてんだよ!!」
DSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDSDS
「え、何、怖い」

呪文の様にDSと連呼する私にガムを食ってる少年略してガム少年の表情には恐怖の色が彩っている。だが、今の私にはそんな事はどうでもいいのだ。私のDSは何処!?私の沙織ちゃんは何処!?
何探してるんだよぃ、なんて不思議な語尾をつけながら話しかけるガム少年。出来れば今は話しかけないで頂きたい。焦りと不安で一杯一杯な為、思わず無視をしてしまう。嫌本当バグってない事だけを!壊れていない事だけを祈る!
あ、DSあったァァァァ!!僕のDSあったァァァァ!!沙織ちゃんは無事k…………ぅわ…。

「お?なんで、お前普通に学校にDS持ってきてんだよぃ?先生に見つかっても知らねーぞ」
「…フフ…フフフフ…なんて、柔かに…なんてフレンドリーに言って下さるのかしら…フ…フフフフ…」
「え?」
「せっかく、沙織ちゃん攻略出来たのに…オメーと…オメーとぶつかったせいでバグったじゃねぇかァァ!!おんどりゃァァァァァァ!!
「ぇえええええ!?」
許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん
「うわあああまじ何なんだよぃいいいいい!」

なんて叫びながらガム少年は全速力で走り去る。此の儘逃すわけねーじゃねーか。絶対捕まえてやる。絶対に。(ピーー)して(バキューーン)して(ズッドーーン)にしてやる!!!
私はちゃんとDSを手に取り、ガム少年の後を追う。



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