昼休みだったから良かったものの立海の生徒数は凄まじい。大量のノートを運びながら職員室に続く廊下を歩く。
このノートが最後のクラスだ、これを職員室に持っていけば晴れて私は自由の身だ。しかし、物凄く疲れた。昼休みもあと10分くらいしかないし、沙織ちゃんルートをのんびりする私の計画が台無しだ。ご飯を食べれるかも危ういところ。
取り敢えずは、ノートをせっせと運ぶ。一応、これでも私女の子なんだけどなー。誰も私を助けようとしないなんてこんな世の中じゃポイズンだよ!
ブツブツ文句を言いながら歩いてるんじゃ、誰も声かけないか…ハハッ。

「…あの」
「はい?」

独り言をぶつぶつ呟く危ない私に真面目そうな眼鏡君が声を掛けた。いや私も眼鏡だけどさ。伊達だけど。

「どうしました?」
「女性が、一人でそんな量のノートをお持ちと大変でしょう?私も一緒にお持ちしましょう」

こんな怪しい奴に声かけるなんて、優しい!何かの罰ゲームでも優しいよ!うん!
ここで親切を受け取るのも私の為だけど、伊藤ににやにやされながら「一人ではやっぱり無理なんだー」っていう目線頂くのは物凄く癪に障る。意地悪な伊藤は私の嫌がる事をわかってるから確実に送るな。伊達に去年も担任してた訳だし。
私のプライドにかけて眼鏡君の申し出には申し訳ないけど、断らせて頂く。

「大丈夫ですよ!これで最後だし、職員室もう少しなんで!それに私意外に力持ちなんで」

私的に好印象な断り方してね?ちょ、やばくね?眼鏡くんは「でも…」と口篭る。そんな彼に私は精一杯の笑顔を向ける。

「お気持ちだけで十分です。ありがとうございます。声かけて下さってとっても嬉しかった!では…」

お礼と共にお別れの言葉を添え、そそくさと職員室に向かう。
ごめんね、眼鏡君…伊藤の顔が癪に障るもあるんだけども…―――私、こういうシチュエーションは二次元しかダメなの!
守君のコスプレしてくれたら、快く引き受けるけどね!なんて事を考えなら足を進める私だった。

「………」
「(…まさか、柳生の申し出を断る女がいたとは……実に興味深い)」

まさか、あそこで、私が観察されてたなんて知らずに……―――




人の親切は素直になろう。
(全ノート集めました!)(ありがとな!ほれ、DSだ)(ちょ、DS渡しながら私の髪ぐっしゃにすんな)(いやー藤堂の髪脂っぽくないか?)(失礼ですね!2日前にお風呂入りましたよ!)(うわっ)(いや、冗談だよ。本気にしないでよ)



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