夜中のうちに雨が降ったのだろうか。窓についた水滴の1つをガラス越しになぞる。 ベッドから身を乗り出して窓の外にあの人の姿を探した。 2階のここからでも、イルミネーションもなにも施されていない丸裸の枯れ木に寄りかかるスタンが持つ、紙コップから出る白い湯気と彼が吐く白い息がよく見える。きっとあの中にはココアが入ってるんだ。あの人は苦いコーヒーが嫌いだから。悴んだ両手を必死に暖めて猫背になってる彼の姿はなんだか弱々しいのに、オレンジ色の朝日と彼の着ているどぎつい紫色の制服がやけに眩しくて、変なコントラストだ。 仕事が終わってからこんな寒い中ずっと私を待っててくれた。 そんな彼が愛おしい。 私はそのままカーディガンも羽織らずに裸足のまま、窓からふわりと飛び降りたら、ポカンと口を開けて驚くスタンが言葉を発する前にその血色の悪い唇にキスをした
「メリークリスマス」
カサカサの唇だったけど意外にもほんのりあったかくてちょっぴりココアの味がした
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