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ダイヤモンドルビーサファイアエメラルド



ドアを開けるとそこにはピストルの銃口をそのプラチナブロンドに押し当てて立ち尽くすドラコがいた。
私はそのまま彼に歩み寄った。
歩くたびにダイヤモンドのピアスが揺れて、耳たぶが痛い。
ドラコの、重そうなピストルを支える白い指が震えている。
青い瞳が、揺れている。
私の黒い瞳が青を捕らえた
綺麗だと思った



「君が、僕以外の男と話たり、笑ったりしてるのを見ることなんて、耐えられない!…死んだ方がマシだ!」


銃口が、プラチナブロンドで完全に隠れた
唇が、歪んでいる
可愛いと思った


「死ぬ勇気なんてないんでしょう」


彼の額にかかる髪を撫でようと手を伸ばせば、自分の薬指にはまった大きなエメラルドのリングが嫌でも目に入る。
髪に触れるとそれはしっとりと汗で湿っていた
愛しいと思った


「バカにするな。僕は本気だ。でも、そうだなぁ…」

彼は意地悪を絵に描いたように口角を上げた。
銃口が、プラチナブロンドから私の額へ移った



「そんなマグルのオモチャで私を殺せるの?」


そっと、ドラコの手に私の手を重ねる
汗で湿ったその手はもう震えていない


「使い方、分かるの?」


ドラコの手からピストルを抜こうとすると、それは意外にもするりと私の手に移った


「これ、結構重いのね」


両手で支えればカシャリと、機械的な音が殺風景なドラコの部屋に響く。
私がそれをポンとソファーの上にほっぽった瞬間、かぶりつくようにドラコにキスされた
目を閉じるとき、まだドラコの青い瞳が見えた

酸素を求めて、仕方なく唇を離す


「キスするときは目を閉じるものよ」
「君から目を離したくない。1秒たりとも。」


再び唇を近づけようとしてきたドラコを制して、大きなエメラルドの指輪を外した

重たいダイヤモンドのピアスも外した

たくさんのサファイアがついたブレスレットも外した

指輪よりも大きいルビーのついたネックレスも外した

体が軽くなった気がした


「僕の贈ったプレゼントは気に入らなかったのか?」
「えぇ。全く」
「宝石が気に入らないなら君は何が欲しいんだ」


ソファーの上に飛び乗ると、その反動でピストルが床に落ちた
ガシャンと、機械的な音が殺風景なドラコの部屋に響く。

ドラコが私を見上げて私がドラコを見下ろしている。

このまま飛び降りて抱きついて押し倒してキスしてもいいかな





ダイヤモンドルビーサファイアエメラルなんかよりも貴方が欲しい。



(サファイアは貴方の瞳だけで充分)
(それなら君の唇はルビーだ)
(ダイヤモンドはドラコの涙ね)
(君のダイヤモンドも見たいな)







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