「……。」
次の日も、羽伊那は部屋に現れなかった。
いや、起床時刻は目覚ましアラームセットしたからちゃんと起きたんだけどよ?
なんか、その作業がすげぇ久しぶりに感じた。
けど、一人の朝は、マジで久しぶりかもしれない。昨日も茂人に起こされてっし。いや、そもそも昨日は朝じゃねーか。
……羽伊那の奴、あれっきり俺に絡んで来ねえ。
それが嫌ってわけじゃねーけど、なんか拍子抜けだ。
つい一昨日まで、晴矢様晴矢様〜ってうぜぇ位にまとわりついて来たくせによ。
つーか何で俺だけまだ様付けなんだよ。
「いった!!」
「ぁ、悪ぃ…」
「ちょっと何その態度!?」
考え事をしながらふらふらと歩いていたせいか、うっかり杏にぶつかってしまった。
「ホントどこ見て歩いてるわけ!?」
「だから悪ぃつってんだろ?」
半ば投げやりにそう言えば、杏は何故か俺の顔をまじまじと見て…
「あんたさあ、何か変わったよね。」
「あ?」
「なんか、バーン様だった時の方が格好よかった気がする。今はなんだか戦う相手やライバルがいなくなって気ぃ抜けてるって感じ。」
なんだよそれ……。
「は?つーか何、お前俺のこと好きなの??」
「ば、な、何でそうなるのよっ!!?」
「だって格好よかったって、」
「前よりマヌケ度に磨きがかかったってこと!!自意識過剰に考えないで!!」
杏の向こう、廊下が交わるその場所を、羽伊那が通り過ぎるのを見た。
見た、というか、今確実に目が合った。
「ちょっと聞いてんの!?」
「聞いてるっつの!」
俺はそこで強引に話を切り上げ、羽伊那を追いかけた。
違和感
―――――――――――