百歩譲って、打倒グランを目指してダイヤモンドダストと合同チームを作ることになったのはいい。
だが……。
「バーン様〜!!」
「げっ!!ハイト!?」
まさかこいつが一緒だとは思っていなかった。
*
「えへへー。どうです?私も見事、カオスの選抜に選ばれちゃいました!!」
「悪夢だな。」
「酷い!!私、少しでもバーン様と一緒にいられるようにって頑張ったのに、ほっ!!」
「うおっ!!?」
両手を広げて飛び付こうとしたハイトを間一髪のところで躱し、俺は第二波に備え構えた。
「いたた…。何で避けるんですか!!?」
鼻を押さえてこっちを見るハイト。
かわいそうだなんて微塵にも思わねえ。
ハイトは小さく舌打ちをした後、
「うわぁん!ガゼル様ぁ、バーン様が冷たいよー!!」
自分のチームのキャプテンである男の名前を呼んだ。
「…バーン、君は泣いている女子に手を差し伸べることも出来ないのか。」
「いや泣いてねえだろ、何だよ"うわぁん"て!餓鬼かっつの!!」
「ハイトの精神年齢はまだまだ子供だよ。」
「ガゼル様、私だって社会の常識ぐらいなら分かります!」
「へー、そう。…ほら、立ちなよ。」
目の前にあるガゼルの手を無視して、ハイトは俺の方を見た。だが俺が動かないと見ると、素直にガゼルの手を取って立ち上がる。
「おいガゼル、何でハイトをカオスに入れたんだよ。」
「あくまで補欠選手としてだ。」
「関係ねーよ!!」
隙をついてまた俺に抱きつこうとするハイトを避け、ガゼルを睨んだ。
「泣いて土下座されたんだ!仕方ないだろう!!」
「土下座……」
再び地面にうつ伏せに倒れるハイトを、俺は虫を見る様な目で見た。
「やだバーン様!その視線痺れる!!」
「お前マジどうかしてる。」
「てへ☆」
それは貴方のせい
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