「メリークリスマス!」
キラキラと輝くツリーのある部屋。私の彼氏である基山ヒロトは、満面の笑みでそう言った。
「……。」
「ちょっとぉ!なんか反応かえしてよー!!」
抱きついて甘えてくる奴の頭を仕方なしに撫でてやれば、頬にキスされた。
「…あのねえお兄さん。」
「なあになまえ〜」
「約二十日前あたしは、今年は彼氏とクリスマスか〜楽しみだなあ♪、と思って浮かれていました。」
「オレも!」
「あっそ、それはよかった。……しかしね、その数日後、仕事から疲れて帰って来たあたしの携帯。貴方からかかって来た電話。」
それを耳にした時の衝撃といったらない。
「イブもクリスマスも一緒にいられない…だと!?」
携帯越し、この綺麗な顔に青アザを作ってやりたくなった。
…しかし現在進行形で、あたしはこうして彼の部屋でイブを過ごしているわけなのだが…。
その理由は30分前
「今からオレの部屋来て♪……って。あ・の・なぁ!!」
「嬉しかったでしょ!」
来れる?ではなく、来て♪……。強制かい。まあ、確かに嬉しかったよ?だからこうしてここにいるんだけどね?
「ヒロトの仕事柄、完全に諦めてた。」
「ごめん。ちょっと驚かせたくてさ。」
そう言ってあたしの頭を撫でるこの男。実は若いながらにプロのサッカー選手であったりするわけで。
「最近会えなかったから、オレ寂しかったんだよ?」
「うん。」
「あ、ねえなまえ、実はなまえにプレゼントがあるんだ。」
「ホント?それは正直かなり嬉しいけど、イブなんだから、枕元に置いておくって手も…」
「それじゃあ意味がないもの。」
「え?」
意味がない?それってどういうことですか?
あたしがまだ疑問符を浮かべたままだというのに、ヒロトはいそいそと何かを取り出した。
「はい!今日はどれにする?」
「そーゆーことだろうとは薄々思ってたよ!!?」
奴が取り出したのは、よくもまあそんな爽やかな笑顔で差し出せたもんだと関心してしまう程の物だった。
「メイド、ナース、軍服、バニーにベビードール…思わず目を覆いたくなるよ。」
「もちろん、そのままのなまえでも十分魅力的なんだけど!!」
「あたしが言いたいのはそういうことじゃなくて!!」
「ちなみにオレへのプレゼントはそれ着たなまえがいいなぁ?」
「無視?っていうか迫って来ないで!!目が本気で怖いから!!!」
「うん、本気だから!!」
「ひ、わ、分かったからぁ!!!」
あ。
再度ヒロトの顔を確認すれば、彼はこれ以上ないって程ににっこりと笑っていた。
Happy X'mas
お前がな!!
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