*台詞ばっか
そこは神の楽園と言う名の地獄、ゴッドエデン。
毎日毎日、体を苛めぬいて眠りにつく。その繰り返し。
でもそんな暗い毎日の中にも、希望と名の光はあった。
"彼"だけが、私の唯一の安らぎだった。
なのに…嗚呼、最悪だ。
私は明日から一体どうやって生きていけばいいんだ…。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイ・ヤ・だー!!!!」
私が窓ガラスさえ大破しそうな大声で叫べば、目の前のもみあげくるんなマイエンジェルは物凄く怪訝そうな顔をした。
「嫌だぁ!!やだよ剣城ぃ!!行かんといてぇ!!」
「…うぜぇ。」
だから言いたくなかったんだよと、剣城は泣きながら足にしがみ付く私に向かって舌打ちをした。
「どうしても行くと言うの!?」
「だから聖帝の命令だっつってんだろ!!」
痛!?相変わらず女子にも容赦無いな剣城は!!
私の想い人であるこの男剣城京介はなんと、フィフスセクター聖帝イシドシュウジの勅令で、明日から東京に戻ってしまうらしい。
「やだぁ…ずっと傍にいてよ京介ぇ…。」
「名前で呼ぶな気持ち悪ぃ。つーか早く離れろ。」
「放したら行っちゃうんでしょ!?剣城いなくなっちゃうとかマジロストエンジェルゥ!!!!」
番号もメアドも教えてくれないし…口頭でもいいから!!暗記するから!!
…うぅ、剣城は寂しくないのかよ!?
そう訴えれば、別に、と冷たい返事を返された。
ふん、それくらいの氷の視線、痛くも痒くもなんともないわ!!
「せっかく極秘プロジェクトとやらで一緒になれたぞうふふふふとか思ってた私が馬鹿みたいじゃん!!クソッ…おのれ聖帝えぇぇ!!!!私から剣城を奪いやがって!!どうせならあの究極馬鹿連れて行きゃあよかったのに!!」
そう嘆けば、前触れも無しに勢い良く部屋の扉が開いた。
そして現れる白い影。
「剣城!ここを出て行くというのは本当か!!」
「うっわ出たよ!噂をすればなんとやら!?」
「な、なまえ!?チッ、話の邪魔を…俺は今剣城に用があるんだ、お前は山にでも行ってろ。」
「誰が猿だ!!お前こそ川に戻れ!!」
白竜の声と重なって、剣城のため息が聞こえた。
「いい加減剣城から離れろなまえ!剣城が嫌がっているだろうが!!」
「じゃあ白竜もいちいち私の剣城につっかかるのやめてくれなぁい?剣城のストーカーとか私一人で充分なんですけどぉ。」
「俺はストーカーなどではない!!」
「なまえ、お前自覚あったのかよ…。」
私と白竜が言い争っているのを、剣城はもうなんだか生ゴミに集る蝿を見るような目で見ていた。
「じゃあ白竜は剣城がどっか行っちゃってもいいって言うの!?」
「いいわけないだろう!!剣城は俺と共に究極の存在になると誓ったんだ!!」
「私だって将来剣城と結婚するって約束したもん!剣城なまえになるんだよ私はっ!!」
「テメー等勝手な記憶作ってんじゃねえよ!!」
「くっ…剣城、お前は俺よりもこの馬鹿女をとるのか…!?」
「剣城!剣城は私よりこの究極(笑)病末期患者をとるっていうの!?」
私と白竜が剣城に迫ると、剣城は心底迷惑でめんどくさそうな顔をしていた。
「お前等、俺にどうしろってんだよ…。」
「俺と共に究極を目指そう。」
「私と婚約して。」
真顔でそう言えば、今度こそ剣城に凪ぎ払われた。
「ふん、様あないな。」
そう鼻で笑った白竜を、私はキッと睨み付けた。
「っるせえよ!お前なんか海外行かなきゃ剣城と結婚できないんだからな!!精々禁断妄想してろモーホー!!」
「誰がホモだ!!」
「お前だよ!!あ、そうこうしてるうちに剣城がいないっ!!」
「なんだと!?」
私と白竜はほぼ同時に扉へと走り出した。二人同時にドアノブへと手を伸ばし、半ば重なった手でガチャガチャとノブを引く。
しかし。
「あ、開かない…!?」
最悪だ。
せっかく剣城と一緒にいられる、最後の夜だというのに。
どうやら私達は剣城にとってあまりにもウザかったらしく、二人まとめてこの部屋に閉じ込められてしまったらしい。あ、因みにこの部屋というのは寮にあるシーツ置き場のことである。他のシード達がしていた噂を聞きつけ、私が廊下を歩いている剣城を無理矢理連れ込んだ感じだ。
「いらないよ!!何この乙女フラグ!?剣城ならともかくなんで白竜なんだよ!!」
私は思わず両手と膝を床に着けた。
「く、仕方ない。」
そう嘆いた白竜は、自分のポケットに手を入れた。
しかしなんだが様子がおかしい。
「…無い。」
「何が?」
「携帯。どうやら置いてきてしまったらしい。」
「はははぁ!!ばっかじゃないの!?」
私はそう白竜を笑って自らの携帯を取り出そうと…したのだが。
「?…な、まさかお前…。」
「えへ……無い。」
うわああぁぁぁ!!!!
え、ちょ、嘘でしょ!?マジ!!!?
「……。」
「……。」
…剣城君、流石にやっていいことと悪いことがあるよ。
これはもう、救助待ちかな。
なんか…うん…なんだろう。
「…なんか、ごめん。」
無言がきつかったから、私から切り出した。
さよならの夜
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これ以上書いたら甘夢展開になりそうだから多分続かない。
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