18.5









*






オレ…いや、オレ達は、古株さんと呼ばれた男性の運転するイナズマキャラバンの中にいた。



崩れていく星の使途研究所。
猛スピードで走る車内から、オレは後ろの窓の一面に映るその光景を見ていた。


目蓋を閉じれば甦る、ここ数年間の記憶。





「……本当に、終わったんだね。」





今だって、こうしていることが夢なのではないかと思ってしまう。ハイソルジャー計画の崩壊によって、"エイリア"の呪縛から解き放たれたオレ達。自らの過ちに気付き、かつての自分を取り戻した父さん。

きっとこれらは、随分前から望んでいた結末。

けれど、実現させるのは難しいのではないかと、心のどこかでそう呟いていた自分がいた。



「……ヒロト?」



円堂君が、オレの名前を呼んだ。


エイリアのグランだと、随分前に言ったはずだ。


基山ヒロトの名前でサッカーはしないと、あの時きちんと伝えたはずだ。







なのに円堂君、



君は、最後まで……。





「ヒロト、
どうかしたのか?」






以前は、その名前にさえ嫌悪感を抱いたことがあった。


"オレ"の存在意義を見出だそうとして、余計苦しんだことがあった。



「…ううん、なんでも、なぃ、よ。」



涙がこぼれているのに、どうしてこんなにも、心は温かいんだろう。







和葉。

君は、大切な人のために戦うのだと、そう言ってくれました。







「円堂君…」







これがその結果です。

































「ありがとう。」









少しずつでいいんだ。
オレも、君みたいに笑いたい。


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