13.5




最近カオスを結成して、バーン様とガゼル様はちょっと仲良しになった。
それは知ってる、知ってる。

だから別に……。





「和葉!!テメー待てっつってんだろ!!?」

「和葉、頼むから止まれ!」

「ひいぃぃ!!!」



私は今、現在進行形でその二人に追いかけられてます。
一体何故こんなことになったのかというと…。






*






富士の樹海に住む小鳥(?)や野生動物達の声で目覚めた私は、時計が朝の時刻を指しているのを確認するとパジャマから着替え、顔を洗うために部屋から出た。
水道手前の廊下で出会ったのは、ちょっと体調のよろしくなさそうなヒート。



「ちょ、大丈夫!?顔色悪いよ?」

「ぇ、嘘?…でも多分平気、ごめんエリオ。」

「いいって。でも一回医務室行った方がいいよ。」

「でも練習、」

「私からバーン様に言っておくから!」

「…分かった、ありがとエリオ。」





…というわけで、私はバーン様の部屋に向かったわけなのだが。



「いない…。」



バーン様は自室にはいらっしゃらなかった。



「……。」



いる可能性のある部屋をいくつかあげると、食堂にトイレに練習場に、あとは、



「ガゼル様の部屋、とか?」



ここから一番近いのはトイレ(いっぱいあるからね)。
しかしまあそれでしたらすぐに出てくるはずですし?(男の子だから)。上記にあげた中でここから一番近いのは、一応ガゼル様のお部屋にあたるわけであって。



「…行ってみよう。」



もしいなくてもガゼル様にモーニングコール(?)というか、おはよう言いに行こうっと。





で。





「とーちゃく、です。」



一回あくびをしてからドアに手をかけた。中からなんかドタドタとした音がしてた。
ああ、起きてるわ。





……今思えば、ちゃんとノック…しておけばよかった、なあ…。





「風介、おは、ょ……?」



彼の姿を確認した途端、私は固まってしまった。



「ぇ…和葉…?」

「あ。」

「……ごめん。」

「和葉っ!!!?」

「ちょ、待て!!」



バタン。



目的のバーン様も、ガゼル様の部屋いた、ちゃんといた。



「あ、私まだ寝ぼけてるんだ。」



その一言を床に落として、私は全速力で駆け出した。

だって風介が晴矢に押し倒されてた。しかもベッドで。風介上に何も着てなかった。晴矢靴下履いてなかった。あれ、これはいつものことか?どうでもいいや。


「和葉、違っ!!」

「やだぁっ!!追いかけて来ないでよぉ!!?」

「和葉こそ逃げんな!」



いや無理だろ。
お願いですから心を落ち着かせる時間を下さい。とりあえず追いかけるのをやめて下さい。






*






…ということです。
実はそれほど時間経ってません。


しかし悲しいことに、私も女の子です。脚力に自信はありますが、ぶっちゃけマスターランクのキャプテン(男子)二人の体力に勝てるなんざ思ってません。だからここはひとつ、どこかのお部屋に引きこもりたいと思います。
私は来た道をひたすら戻っていたので、



「っ!!」



考えも無しに晴…バーン様の自室に飛び込んだ。



「和葉!多分お前とんでもねー勘違いしてっから!!」

「誤解だ、和葉!!」

「分かりました私が悪いんですすいません、別に何とも思ってませんから、本当に分かりましたってばぁ!!ごめんなさいぃ!!!」

「分かってねーよ!!!」

「エリオ、ドアを開けろ!!」

「宇宙人ネームで命令されたって嫌ですガゼル様ぁ!!」



私はドアに鍵をかけてバーン様のベッドに飛び込んだ。



「分かってるってば、誤解なんでしょ?どーせ着替え中のガゼル様んとこにバーン様が尋ねてってまたいつもみたいに何かもめてドターン!みたいな感じなんでしょ!?だからそんなに必死にならなくていいよぉ!!」

「じゃあ何で逃げんだって聞いてんの!!」

「っ、バーンどうするつもりだ!貴様のせいで和葉に変なトラウマが出来てしまったじゃないか!!」

「俺のせいかよ!?つーか何泣いてんだ!!」

「泣いてなどいない!!…和葉が私との行為を拒んだら絶対お前のせいだ。」

「知るか!とりあえずお前服着ろよ!!」



なんかドアの外が騒がしいけど、布団を頭から深く被っている私には単なる雑音にしか聞こえない。



「ノーザン…インパクトぉ!!」

「ああぁぁ!!!ガゼルてめー!!!!!」

「ひっ!?」



ドアが大破された、だと!!?



「和葉っ!」

「NOおぉぉ!!」



被っていた布団をガゼル様に投げつけて、私はまた駆け出した。



「っぁ!?」

「クソッ!!」



バーン様の手が擦った、
うわ危なかったぁ。



「あれ、和葉?」

「グラン様っ!」



いいところに!



「うわっ!?」

「ごめんなさい!!」

「え??」



私はそのままの勢いでグラン様に抱きついた。なるべく後ろを見ないように。あと、さっきまで被っていた布団的存在がほしかったのもある。



「グラっ…和葉!?今すぐそいつから離れろ!!」

「バーン?」

「和葉、すまなかった!君を怖がらせたことは謝るからっ!!」

「ガゼル?」



グラン様の腕が背中に回る。



「和葉に触れるなビッチ!!」

「グラン様はビッチじゃないもん!!」

「和葉ちげーから!そいつ単にシリアスバージョンという名の皮を被ったビッチだから!!」

「酷い言われようだなあ。通常運転のオレよりだったらよっぽど服着てないガゼルの方がアブナイ人に見えるよ。」

「なっ!?」

「ていうか、ドロルやネッパーが探してたけど、2人とも何かあるんじゃないの?」

「「!!?」」

「和葉、気分でも悪いの?少し俺の部屋で休もうか。」

「「!!!!!??」」



私はグラン様の申し出をありがたく受けることにした。
さっきも言ったが、私は単に心拍数を落ち着かせたいだけたのである。
率直に言うと、逃避のために寝たいのだ。



「行こう和葉☆」

「語尾の☆隠せてねーぞ、あとその胡散臭え笑顔やめろ。」

「行くな和葉!」



風介の言葉に、私は…




「……練習、頑張って下さい。」




そう言い捨て、私の肩を抱いて歩くヒロトと共に歩き出した。







Today morning.

「あ、そうだ。バーン様…」
「?」
「ヒート、朝練お休みしますので。」
「……ぉ、おう。」




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